パワー30倍:イージス艦用新型レーダー開発

Flight III Arleigh2.jpgFlight III Arleigh.jpg23日、レイセオン社がイージス艦に搭載する新型レーダー(AMDR:Air and Missile Defense Radar)の初期設計とシステム分析を終了し、具体的な開発・製造段階に進むと発表しました。
開発が成功すれば、青色発光ダイオードの原料となる物質を活用し、現イージスシステムのレーダーSPY-1Dの30倍の出力が可能だと考えられているようです
24日付米海軍協会web記事は
●23日レイセオン社は、Arleigh Burke級のイージス艦(Flight III)に搭載予定のAMDRの初期設計審査(PDR)を終了したと発表した。また、システム融合基礎審査を終了し、具体的な開発・製造段階(EMD:engineering and manufacturing development)に進むとも発表した
FlightIII-Arleigh Burke.jpg●同社の担当副社長は「初期開発時の技術的リスクをクリアし、コスト削減取り組みも実施されており、今後はレーダーのシステムとしての組み上げと製造開発に集中することになる」と声明を発表した
●開発に成功すれば、2016年予算年度の2番目に建造されるイージス艦に搭載される計画。現装備のSPY-1Dレーダーと同様に艦艇に組み込みが可能だが、多くの点で革新的な性能が期待できる
窒化ガリウム(GaN)を送信&受信モヂュールに使用したAESA方式のレーダーは、SPY-1Dレーダーと比較し、僅か2倍の電力使用量で、30倍のパワーを生み出す。この新技術により、現イージス艦の発電能力と機器冷却能力を超えることなくAMDRを装備可能になる
●また新型AMDRは、デジタルビーム形成技術を活用してより精密に目標追尾が可能になり、海軍艦艇初の電子戦攻撃に使用できる潜在能力を持っている
●更に、比較的装置の規模が手頃でモジュール化されており、より小型の艦艇への搭載も可能で、利点として注目されている。ただし、現時点で他艦艇への搭載計画は無い
AMDRのプロモーション映像(2分半)
「Sバンド」と「Xバンド」周波数を使用する模様


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レーダーの技術については知識不足で語れないのですが、信号処理技術や複数のセンサーのデータ融合技術を含め、最近の進歩には著しいものがあるようです
そんな背景もあり、米海軍トップが「ステルス性が有効なのは今後10年ぐらいだ。その後は電子戦等の支援が必要」と主張している背景かもしれません
「ステルス機VS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
米海軍の作戦構想関連
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「SM-6で艦艇が遠方目標対処へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「E-2Dはステルス機が見える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
「NIFC-CAで空軍と強力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23
「米イージス艦のIAMD進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「なぜ8機EA-18Gが必要か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-13

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