10日、米海軍の新型早期警戒機E-2Dが、IOC(初期運用態勢:Initial Operational Capability)に到達したと米海軍により判断されました
E-2Dは、高度な電波走査と情報処理技術を活用して本格的なUHF周波数帯レーダーを実現し、戦闘機クラスのステルス機探知追尾能力があるのではと噂される機体の新型機です。
更に単に「空飛ぶレーダー」としての役割だけでなく、米海軍アセットか構成する情報ネットワーク(NIFC-CA)の中核となり、艦艇や艦載機が自ら探知していない目標への兵器の誘導や情報共有を可能にする装備として海軍幹部が期待する新装備です
16日付Defense-News記事によれば
●IOCを獲得したのは、ノーフォーク基地所属の第125早期警戒飛行隊で、5機のE-2Dと5つの操縦・操作クルー、更に整備維持チームが承認された
●同飛行隊は現在第1空母航空群と共に訓練を行っており、来年空母ルーズベルトに艦載されて任務展開する予定である
●現主力であるE-2Cのレーダーを全く新しいモノに換え、機械走査・電子走査の両方を併用し、海上だけでなく陸上部分での探知捜索能力が向上している
●米海軍の担当大佐は「より小さな目標を、より遠方で、クラッターが多い環境でも探知可能で、これまでのE-2シリーズより状況掌握の柔軟性や能力で格段に優れている」と語った
●E-2Dはまた、エンジン能力の向上で発電容量も増し、冷却能力も向上している。また機体構造も強化され、搭載装備の増加もカバーしている
●米海軍は15機のE-2Dを受領しており、更に50機の発注を終えているが、最終的には2027年までに計75機を装備したいと考えている
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このDefense-News記事は細部に触れていませんが、ネットワーク装備も重要です
米海軍は来年、発展型のデータリンク「Tactical Targeting Network Technologies (TTNT) data-link」をE-2Dに装備する計画で、「Link-16 and Cooperative Engagement Capability (CEC) data-links」と総合して、海軍アセットの強力なネットワーク構築を考えているようです
ネットワークが電波妨害やサイバー戦に脆弱であることは大きな懸念ですが、海軍はその方向に向かっています。細部は「過去記事」でご確認下さい
米海軍の航空作戦構想とE-2D
「E-2Dはステルス機探知可能!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23
「米イージス艦のIAMD進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「海軍トップ:ステルスはあと10年」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「なぜ8機EA-18Gが必要か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-13