2日大手ヘリコプター企業のSikorskyが、かねてより研究開発してきた新型特殊作戦ヘリ「S-97 Raider」の量産プロトタイプ機を公表し、間もなく地上試験から段階的に開始すると発表しました。
直接的には米陸軍の「OH-58D Kiowa Warrior」の後継を狙っての開発ですが、開発が成功すれば、用途は大きく膨らむと考えられています
3日付Defense-News記事によれば
●Sikorsky社のMick Maurer社長は「4年前にS-97 Raider開発計画を明らかにし、業界から最高の企業が集まって取り組んできた。この際、経済情勢から国防予算が厳しい状況にあり、開発計画遂行が適切でなければならないことを肝に銘じてきた」とは発表した
●更に「Sikorsky社はヘリ分野で指導的立場にあることを誇りにし、S-97 Raiderが世界の軍用ヘリの中で示す指導力を誇りに思う」と同機をアピールした
●同機は武装した兵士6名が搭乗可能で、11000ポンドが積載可能である。またこれまでのヘリに比して格段に早い、時速220ノットでの飛行が可能
●同社は開発経費の75%を負担し、残りの25%は他の53の参加企業が受け持っている。
●同社の軍事システム部門トップSamir Mehta氏は、「S-97 Raider」開発は「迅速プロトタイピング」へのSikorsky社の取り組みを示す一例であるとアピールし、「開発時間を短縮できれば、投入資源も少なくてすむ」と語った
●Mehta氏はまた、「軍事予算が厳しい時代における新しいタイプの取り組みであり、迅速なイノベーションや市場への投入速度など、いつ計画が実現でき、いつ任務遂行が可能になるかが重要だと認識している」と時勢を踏まえた取り組みを強調した
S-97の特徴や開発経緯
●2つの同軸回転翼と後部プロペラで速度250ノット
●フライバイワイヤ方式を採用し、高度な運動性や低高度高速巡航を可能に
●空中給油で遠距離作戦にも対応
●2枚回転翼の課題である振動を制御抑制する最新システム搭載
●エンジンの熱と音の放射を極限し、発見を困難に
●多様な装備の搭載を可能にし、状況に応じ武装偵察、CAS、CSAR等の多様な任務が可能
●無人機タイプも視野に
以下は2009年に公表の運用イメージ映像
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Sikorsky社のイメージ映像が示すように、テロ組織に捉えられた人質を奪還する特殊作戦での有効性が売りのようです
夜間任務や低空を這う隠密任務への適応性もアピールしています
「S-97の特徴」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-10