国防次官→「海兵隊用F-35は来年7月には運用開始できない」
F-35計画室長→「A-10全廃が認められないと整備員が不足し、運用開始が遅れる」
10月30日、米国防省F-35計画室長のChristopher Bogdan中将が、問題や課題山積のF-35開発状況について語りました。整備員確保、騒音レベル、最初に運用開始をもくろむ海兵隊用の見通しについて、新事実が明らかになりましたのでご紹介します。
同中将が「全員で沈没するか、全員が浮かばれるか」と表現した、大博打プロジェクト(負けの確率ほぼ10割)の実況中継です
米空軍のF-35整備員が不足
●米空軍が要望しているA-10攻撃機全廃が了承されない可能性が高いが、これは米空軍F-35の運用開始時期にとって「大きな脅威」である。
●米空軍がF-35の初期運用態勢確立を宣言するには、約1100名のF-35整備員が必要だが、この内約800名の熟練整備員は全廃したA-10整備員を転用することになっているからだ
●仮にA-10が全廃できず、整備員が確保できなかったなら、運用開始時期を守れない。
●また別のどこからか整備員をかき集めるにしても、熟練整備員を大量に確保することは難しく、養成に現計画よりも長期間を要する。ベテラン軍曹レベルの養成は短期間では出来ず「a lot longer」必要になる
F-35の騒音はレベルは・・・
●31日に公表されたF-35の騒音測定結果によれば、地上でアフターバーナーを使用しない状態では、「F-15、F-16、FA-18より少しだけ静か」との結果になっている。F-35計画室長Bogdan中将は、F-35は「うるさい」との噂は否定されるべきだと語った
●しかしアフターバーナーを使用した場合、その前任者達よりかなり騒音が大きく、F-4ファントムと同レベルのノイズを発する。詳しく分析すると、F-35の騒音の質はF-4とは異なるが、人間の耳には同等に「うるさく」感じられる
海兵隊用F-35Bは間に合わない
●10月27日の週、ケンドール技術担当国防次官は、海兵隊用F-35Bは予定している2015年7月の初期運用開始(IOC)に間に合わないと述べた。
●これに対しF-35計画室長Bogdan中将は30日、「ケンドール次官の発言はメディアで知っているし、リスクがあることも承知している」が、最後まであきらめないと語った。
●一方、今年6月に発生したエンジン火災による飛行試験の送れや、機体コンピュータに入力が必要なデータ(地形、脅威等々の情報)の確保に依然取り組んでいると現状を説明した
●同中将は期限前日の夜(2015年6月30日よる)まであきらめないと語り、遅れるにしても数ヶ月単位で、数ヶ月や数年ではないと語り、F-35計画室の壁に「海兵隊用IOCまで244日」と掲示して業務に取り組んでいると語った
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いつのまにか・・最初に運用開始するはずの海兵隊用F-35のIOCが遅れることが規定事実となっています。
Bogdan中将の「気合」には感服しますが、「やる気」や「気合」だけではなんともなりません。冷静だったBogdan中将の「気合だけ」を見るに、事態の深刻さが分かります
9月にBogdan中将が「全員で沈没するか、全員が浮かばれるか」と諸外国を含む関係者に「ケツまくり恫喝発言」をして以来、亡国のF-35度合いが増しているように見えます。
坂道を転げ落ちるスピードが増しているように思えてなりません。なぜ日本で誰も話題にしないのでしょう・・・不思議だ。
太平洋戦争の後半は、たぶんこんな雰囲気だったんだと思います。分かっているのに誰も指摘しない・・
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