16日付Defense-Techが、米陸軍がメリーランド州(ワシントンDCのすぐ北)で3年間の試験を開始したバルーンレーダーシステム(巡航ミサイル防衛センサー:JLENS:Joint Land Attack Cruise Missile Defense Elevated Netted Sensor System)について紹介しています
システムの名称には「巡航ミサイル防衛」が付いていますが、首都を「無人機」から守ることが大きな試験の狙いのようで、VHFレーダーとXバンドレーダーの2つを組み合わせた「2バルーン」からなる監視網で、米空軍のNORADとの連接が重要な試験のポイントのようです
16日付Defense-Tech記事によれば
●12日に開始された3年間に及ぶレーダー搭載バルーンの試験は、米陸軍の監視システムとNORAD北米防空コマンドとの融合を試験するモノである
●全長約70mのレーダー搭載バルーンは、高度3300mまでワイヤーに係留されて上昇可能で、低空を侵入するミサイルや航空機や無人機を探知することを狙っている
●試験されるシステムは2つのバルーンから構成されており、12日に設置されたのは約500km範囲を捜索できるVHFレーダーを搭載したバルーンである。
●来年1月末に設置される2個目のバルーンにはXバンドレーダーが搭載され、VHFレーダーが探知した目標の細部精密情報を入手するために使用される
●専門家は今回の試験について、米国防省は首都周辺空域での「無人機」の活動に懸念を強めており、カメラ搭載無人機と航空機のニアミス事案を受け、ワシントンDC周辺での無人機飛行を禁止した事と関連している、と見ている
●NORADは12日のバルーン設置に際し、「JLENSが既存のNORAD防空網情報と上手く融合して機能するかを確認する試験であり、3年後には成果が確認できる」とコメントを発表した
●またNORADは、バルーンが爆発しないヘリウム気球であり、係留ワイヤーも30年以上の無事故実績があり、更に試験に当たっては周辺の湿地帯や動植物に細心の注意を払い、特にイヌワシとハクトウワシへの影響を良く見極めながら実施するとしている
●加えてNORADは、バルーンがカメラを搭載しておらず、周辺住民の監視を行うスパイ活動を行わないとも明言している
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VHFレーダーでステルス性のある目標もカバーし、Xバンドレーダーで精密な対処を行う。是非「お手並み拝見」したい試みです
有事における脆弱性は弱点ですが、その有効性を是非確認しておきたい装備です
東京オリンピックに向け、日本でも必要になるかもしれない装備かも・・と思いました。また先進国首脳会議(サミット)のような、テロを警戒するイベントでも活躍してくれそうな気がします
高層ビルが建ち並び、地上レーダーでは領空監視が十分出来ないシンガポールが導入したと以前ご紹介しましたが、今世界で話題のアイテムです
バルーンレーダー最前線
「シンガポールが気球レーダーを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-04
「5年間在空の自立バルーン研究」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-22