インドネシアが中国漁船22隻を拿捕

Indonesia8.jpg新年に入り、インドネシア政権が外国の密漁船への取り締まり強化を打ち出し、ベトナム、タイ、ニューギニアの違法操業漁船を撃沈し、中国漁船も22隻拿捕しているとのニュースが世界を駆け巡っています。
いずれも乗員を下船させた後で、「警告」が狙いだったようですが、大統領は摘発をさらに強化するよう国軍に求めているとも報道されており、昨年10月に発足したジョコ・ウィドド大統領政権の動向に注目が集まっています
4日付時事報道によれば
Indonesia2.jpgインドネシア政権が、「海洋強国」実現に向けた取り組みを加速している。外国の密漁船への取り締まり強化を打ち出したのに加え、海軍の増強も計画しており、背景には中国への強い警戒感がある。
ジョコ大統領は外国船の密漁で「年間300兆ルピア(約2兆8800億円)が失われている」と危機感を示し、インドネシアを海洋国家として発展させることを優先目標に掲げ、11月には密漁船撃沈を含む強硬策をとる姿勢を示した
●これを受け、同海軍は12月5日に違法操業していたベトナムの小型船3隻を爆破、沈没させたのを皮切りに、下旬にはパプアニューギニア船2隻、タイ船2隻を撃沈、大統領は摘発をさらに強化するよう国軍に求めている。
●海軍の増強も進める方針だ。ジョコ政権は任期中の5年間に軍の近代化を急ぐ計画だが、韓国の技術協力を得て自前の潜水艦建造を目指すほか、無人偵察機の導入も検討している。
Indonesia4.jpg背景には中国の存在がある。天然資源が豊富な同国のナツナ諸島は中国が領有権を主張する「九段線」近くにあり、前政権時代から国軍が警戒を強化。軍司令官は4月、中国が同諸島の一部を九段線の中に含めていると批判し、軍事展開を強化する意向を示した。
●こうした警戒感はジョコ政権になっても変わっていない大統領首席スタッフのパンジャイタン氏は昨年12月、同諸島周辺で米石油大手シェブロンが共同ガス探査を進めていることを挙げ、「米国の存在は中国がここで活動できないことを示すシグナルになる」と中国をけん制した。
昨年末のニューズウィーク誌は
Indonesia7.jpg●昨年12月、インドネシア大統領の外交政策アドバイザーが訪米中に「最近ベトナムの漁船を沈めた。次は中国の漁船かもしれない」と語った
●ベトナム船の爆破後に別の海域で拿捕した中国漁船22隻についても、中国側の反発を覚悟で沈没させるのかどうかが注目を集めている。
●中国船の違法操業及び拿捕を受け、インドネシアの海洋水産相は、同国外務省から中国大使館に抗議し対応を協議するよう外相に要請した。しかしその一方で、大統領が許可すれば拿捕した船を破壊することも検討しているという。
中国外務省の報道官は、インドネシア当局と協力して詳しい状況を確認中で、インドネシア側に「中国人乗組員の安全および法的権利の確保と適切な対応」を求めていると語った
一方で蜜月な両国関係
Indonesia5.jpg中国はインドネシアにとって最大の貿易相手国であり、同国を訪れる外国人観光客は中国人が最も多い。中国からの投資は拡大し、昨年秋に習近平が初訪問した際は、両国の関係を包括的戦略パートナーシップへ格上げで合意した
●インドネシアは中国主導のアジアインフラ投資銀行への参加を正式表明し、ジャカルタに本部を置くことを提案。中国からの観光客倍増も目指している。ジョコ政権は重要な海洋開発構想でも中国と密接に協力していく構えだ
●大統領によれば、同国周辺で違法操業する船は、中国船も含め毎日約5400隻。蜜月の終わりを覚悟してでも強硬策を模索するという、難しいかじ取りを強いられている
大統領は貧しい家庭で清廉なイメージで当選
Indonesia3.jpgジョコ大統領は、貧しい大工の長男として生まれ、露天商などで学費を工面しながら大学を卒業し、家具輸出業で成功。2005年にソロ市長、12年にジャカルタ特別州知事となり、保健や教育補助の政策で実績をあげた。
清廉なイメージと地方首長としての経験から絶大な人気を集めている。エリート層や軍出身者が占めていた従来のインドネシアの政治指導者とは一線を画す存在として支持を集めた
一方、これまで強みとされてきた、国政のしがらみのない「清廉さ」は、国を率いる指導者としては経験不足で弱いイメージとの評価があることも確か
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人口世界第4位で世界最大のイスラム国家であるインドネシアは、経済規模や成長面でASEANの中心的存在です。
もちろん、ベトナムやフィリピンほど中国と直接対峙する場面は多くありませんが、インドネシアが他国に対するのと同様に、中国に厳格な姿勢で臨んでもらえれば、周辺国を勇気づけることにもなりましょう
Indonesia6.jpg国民の大きな期待を背負って当選した大統領ですが、外交安全保障面でどのような判断を下すかに注目が集まっています
日本にとってもインドネシアは大きな市場となっており、企業進出も盛んですし、何と言っても(笑)AKB48グループの姉妹グループ(ジャカルタ48:JKT48)が海外で大成功を収めている貴重な関係もあります。注目したいです
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