空母をどう位置づけるべるべき?

Ford-Class-Carrier.jpg17日付の米海軍協会web記事が、海軍評論家・ライターJeff Moore氏のエッセイ「米空母作戦の新たな戦略的現実」を掲載し、対艦弾道・巡航ミサイル等の新たな脅威が出現する中でも空母は重要だから、その防御強化を優先的に実施すべきとの主張を紹介しています
筆者は、上記が「何となく」広く海軍関係者には認識されているようにも見えるが、国防省や政治レベルになると認識が不十分だと訴えています
米海軍の予算獲得ロジックのような気がする「我田引水」な主張にも聞こえますが、米海軍の今後の投資優先を理解する一助になりそうなのでご紹介します
空母の将来を考える9つの視点
(17日付の米海軍協会web記事)
Ford Class CV.jpg第1に、海軍戦力の存在目的である敵艦艇、航空機、地上目標の破壊のため、空母は有用な兵器であり続ける
第2に最近の対艦ミサイル(弾道及び巡航)は、単に戦術的・作戦レベルの脅威ではなく、全ての海軍作戦に対する、つまり空母作戦に対する戦略的・戦域レベルの脅威である
第3に、最近の対艦ミサイルは、空母の特性である隠密に、敵の奥深く、自立し独立した攻撃ができる兵器である点を削減し、特に第1撃においての役割を減殺する
第4に、第3で指摘した課題克服のため、空母作戦の前提として、海空からの脅威から隔離する(対艦ミサイルの除去や同ミサイルからの防御)ことが必要である
第5に、第4を実行するためには、空母自身が行うISR活動だけではなく、戦域レベルでの戦場インテル準備をしっかり行うことが空母作戦には必要不可欠
Df-21D USNI.jpg第6に、空母攻撃群の対艦ミサイル防御は、他軍種のミサイル防衛と理想的に融合されるべきで、特に宇宙アセットの活用により大幅に強化される
第7に対艦ミサイルの破壊には、戦術・作戦レベルのアプローチだけではなく、宇宙をも含む戦略・戦域レベルのアプローチの組み合わせが求められる
第8に、第2次大戦時に空母の出現で重要性が低下したミサイル艇(又はgunboat)が、海軍作戦における重要な役割を取り戻す
第9に、地上配備の対艦弾道ミサイルASBMの出現は、(マハンの時代であった1840年代に、Henry Halleck少将が海軍増強より重要だと主張した)沿岸防御論(coastal defense)の復活と発展を思わせる
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対艦弾道ミサイルや巡航ミサイルの発達を良くフォローした上でのエッセイで、その点では「脅威の変化」に正面から向き合っています
沿岸防御論(coastal defense)の復活と発展に言及する辺りは、素直さが見て取れ、海軍人ではない柔軟な視点に好感が持てます
high-speed vessel.jpgしかし、これだけの対艦ミサイル防御態勢を構築するコストと効果を考えると、やはり空母に頼るのには限界があると思うのですが・・・
なお「第8」は、今話題のレールガンやレーザー兵器を搭載した「対艦ミサイル防御艇」の導入を主張しているようです。
まだまだ海軍の悩みは続きそうです・・・
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