F-35は能力不十分で運用開始へ

F-35-Face.jpg6日、米空軍戦闘コマンド司令官のHerbert Carlisle大将がペンタゴンで記者団に対し、2016年後半(8月から12月の間)に初期運用能力IOCに達する予定の米空軍用F-35は、現有戦力が可能ないくつかの能力を発揮出来ない状態だろうと語りました
議会と米空軍との間で紛糾しているA-10全廃問題に絡み、特に地上部隊支援の攻撃能力(CAS能力)がソフト開発の遅れで不十分だと指摘されているようです
でも実態は、使える兵器はこれだけ・・・と言った状態らしく、Carlisle大将も開き直って語っているようにも聞こえてきます
6日付Defense-News記事によれば
Carlisle大将は「(2016年に運用を開始した時点では、)多くの点に置いて、F-35Aは現有戦闘機が保有する能力を保有していないであろう」と記者団に語った
Carlisle-ACC.jpg●米空軍は、予算の強制削減に対応するため、またF-35の整備員を確保するためA-10全廃提案を行っているが、A-10が主任務とする地上部隊支援能力がF-35では当面不十分だと認めた
●米議会は、対IS作戦等にA-10が不可欠で、またF-35を導入してもA-10の代替は不十分だとしてA-10全廃案に難色を示しているが、はからずもF-35の能力がそれ以上に不十分だと国防省側が認めることになった
●カーライル司令官は、当初の段階では「BIG SAR」と呼ばれる地上捜索監視レーダーや「小口径精密誘導爆弾:SDB-II」が使用出来ず、F-35は「先進」装備を用いての地上部隊支援CASが実施出来ないと説明した
●また同司令官は、その様な最新装備を運用するには、2021年に導入されるであろう「Block 4 software」まで待たなければならない、と付け加えた
●なお、F-35の機関砲である「GAU-22」も、2016年から数年遅れで使用可能となる見込みである。
●海兵隊は垂直離着陸型のF-35Bを今年2015年後半に運用開始するが、その時点で使用可能な兵器は2発のアムラーム(AIM-120)と2発のGPSまたはレーザー誘導精密爆弾だけで、地上部隊支援CASに最適な兵器ではない
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F-35canada.jpgこれらの情報は国防省のF-35計画室からの情報として断片的にご紹介してきましたが、ついに作戦部隊幹部からも「要求性能を満たしていない」事が語られるようになりました
カーライル司令官が言う「Block 4 software」が、完成版と言われるソフト「3F」を意味するのかよくわかりませんが、多くが先送りされていると言うことでしょう
日本でF-35を話題にする人は居なくなりましたが、水面下では引き続き「亡国のF-35」による暴走がその度合いを増しています。
集団的自衛権やガイドラインの議論が盛んに行われていますが、予算や人材や労力や運用思想面で、日本にとってF-35ほどの「負の遺産」はありません。
政策面での議論が吹っ飛ぶほどの破壊力を持っているのに、誰も話題にしないのは寂しいことです

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