10日付米空軍協会web記事は米空軍報道官の発言を引用し、地上シミュレーター訓練による実飛行時間の縮減、飛行実績や機体疲労調査の結果から、当初2030年代半ばからF-22の引退が始まるとの見積もりを変更し、2040年代まで活躍が期待出来ると紹介しています
またこの再見積も踏まえ、2016年度予算にはまだ具体的な次期戦闘機予算が含まれず、「Air Dominance 2030」との将来航空優勢の検討を先行開始すると説明した模様です
10日付米空軍協会web記事によれば
●米空軍協会機関誌の質問に対し米空軍のEd Gulick報道官は、当初2030年代半ばからの引退開始が予期されていたF-22が、2040年代に入っても運用可能との見積もりを立てている返答した
●なおこの運用期間延長は、延命措置施策なしに達成可能だとしている
●F-22戦闘機は、毎年約360時間飛行し、22年間使用して計8000時間飛行可能と設計されている
●個々の機体は、飛行記録装置により飛行ごとの荷重やねじれが記録されており、このデータを「Aircraft Structural Integrity Program」で使用し、耐久性を分析するモデルや工学分析で飛行時間換算を行っている
●米空軍戦闘コマンドACCは、数年前から同機を「節約・倹約」するため、シミュレータ訓練を実飛行に置き換える事を開始しており、実戦的演習として著名な「Red Flag演習」にもバーチャルな部分を大きく取り入れ実飛行時間を「節約」しようとしている
なぜF-22の後継検討を急がないのか?
●軍事記者達は、F-22の開発製造に20年間を要したことから、なぜ2016年度予算案に次期戦闘機に関する具体的計画が無いのか疑問を持っていたが、F-22の寿命延長見積もりで少しは理解出来た
●米国防省と米空軍は、「Air Dominance 2030研究」で技術要素や新技術の動向を分析し、制空全体の将来像を再検討する計画だが、その余裕があるのはこのためだ
●2月の空軍協会総会で空軍参謀総長は「6世代戦闘機」に関する質問に、「どのような姿になるか分からない」「恐らく単一のアセットでは無く、一連のシステムの中の一つ(a family of systems)となるだろう。次期爆撃機LRS-Bがそうであるように」と答えている
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航空自衛隊も戦闘機数を削減したくないのなら、飛行時間を削減して予算を削減するため、シミュレーターを大々的に導入してはどうでしょうか?
津波で被害を受けたF-2戦闘機を、1機200億円も掛けて修理する予算の一部でも活用すれば、最新のシュミレータを複数台導入できたのでは・・と思います。
「空軍は単に飛んでいたいのか?」と、問いかけたくなります
F-35のSIM関連
「F-35SIM連接の課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-05
「移動簡易F-35用シミュレーター」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-02
「5世代機には模擬が不可欠」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-28-1
ロバート・ゲーツ語録(http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19)
国防省で制服幹部をたしなめている。陸軍は未だにフルダ・ギャップでの戦いを望むのか? 海軍はまだミッドウェー海戦を夢見ているのか? 海兵隊は仁川上陸作戦をもう一度なのか? 空軍は単に飛んでいたいのか?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02