米空軍無人機パイロットの離職止まず

Spencer3.jpg3月25日、米空軍のLarry Spencer副参謀総長が上院軍事委員会で証言し、訓練して育成した無人機パイロットの7割が厳しく辛く夢が無い職に嫌気がさして止めていく現状を明らかにしました。
これまでも無人機操縦者の離職率の高さを指摘してきましたが、深刻な事態で、同大将は「at our wit’s end:途方に暮れている」と吐露しています
この様な状況を受け、ウェルシュ参謀総長が3月24日に無人機基地を訪問して操縦者達を激励していますが、解決の糸口は見当たらない模様です
以前、無人機関係者の手当増額の話を紹介しましたが、その効果もあるのか無いのか・・・
30日付米空軍協会web記事によれば
Spencer22.jpg●Spencer副参謀総長が上院軍事委員会で「米空軍が実施した調査によれば、約3割の無人機操縦者のみが、同勤務を継続して継続勤務ボーナスを受け取ると回答している」と現状を説明した
●更に同大将は「我々が育てた無人機パイロットは、職務を継続してくれるか辞職するかを懸念しなければならない状態にある」と述べた
●また「新しく無人機操縦者になった者達で有人機操縦者には、何時の時点かで有人機に戻れると話をしてきたが、(人手不足なため)今はもう有人機に戻れないと言っている」状態だ
●そして「現在の状況は、端的に述べると、途方に暮れ困惑している状態だ」と付け加えた
●副参謀総長は「無人機運用部隊を健全にするために一連の施策に取り組んでいる。より大きな継続勤務ボーナスや、州兵軍人に正規兵になって(無人機)任務に就くよう要請したりである」と述べ、
●「継続する作戦任務と、2007年以来急増し続ける無人機需要の現実を示す状態がここにある」と語った
ウェルシュ参謀総長は現場を激励も・・
Welsh-Creek.jpg●24日、ネバダ砂漠の中にある無人機遠隔操作拠点であるCreech空軍基地を訪問したウェルシュ空軍参謀総長は、米空軍は無人機部隊のストレスを和らげるためあらゆる手段を講じていると語った
●「明らかに何かを変革しなければならない」と述べた参謀総長は、「要員養成を増やし、兵士の充足率を100%にし、無人機操縦者や操作員を十分に養成出来るまで作戦運用頻度を押さえ、離職する者が出ても無人機運用部隊が負の影響を受けないようにしなければならない」と語った
過去15年間の無人機部隊の拡大は「正に驚異的:absolutely stunning」であり、これはISR支援への要求が急増している事を背景としている
●「全ての地域コマンド司令官が皆を求めている。私は皆の努力と、地上部隊に与えている安心感に感謝したい」と無人機部隊の兵士に語りかけた
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1月15日に空軍長官が、「無人機操縦者手当を2倍以上に」と発表して大きな話題になりましたが、その後、制度の詳細が明らかになるにつれ、恩恵を被る無人機操縦者が「ほんの一握り」である事が関係者を落胆させ、米空軍首脳への不信感を増幅しました
「無人機操縦者手当を2倍以上に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-17
需要が増加している分野で辞職者・離職者が急増との異常事態ですが、まんぐーすに言わせれば、時代が変わっているのに、未だ「戦闘機操縦者至上主義」に固執していることが根本原因です。
早くそのことに世界の空軍は悟らないと・・・米空軍を「反面教師」として・・・
ご参考の記事
「無人機操縦者手当を2倍以上に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-17
「戦闘機族ボスがF-22,F-35,A-10を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-16-1
「ハイテク無人機を支える馬の毛」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-29 
もう一つ・・・
米空軍のトップが2013年新年メッセージで「火消し」に追われた組織内に広がる真実
「戦闘機パイロット文化への攻撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

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