21日、米海軍作戦部長が米海軍の全部隊に対して「STIPULATIONS FOR USING NAVY MOBILE DEVICES:海軍モバイル通信端末の使用規則」を通知し、海軍の装備品として「公用」と「私用」の両方に使用可能なスマホの運用を開始することになりました
公私兼用スマホがどれぐらいの数量準備されるのか、公務でどのレベルの秘密情報が通信できるのか、どこで使用可能なのか(艦艇内で使用可?)等々の疑問はあるのですが、とりあえずご紹介します。
導入の背景は語られていませんが、スマホの便利さから、職場で私物スマホをあまり厳格に制約すると、職場の魅力が大幅低下するからでしょうか? 妥協の産物のような気もしますが・・・
海軍司令部の担当部長であるTed Branch海軍中将は、「モビリティーは、海軍の作戦運用、通信、兵士支援を変革する」、「作戦運用上のニーズと情報管理・保全の両立を満たすため、海軍ネットワーク計画部署が編み出した手法だ」と説明しています
報道や上記「使用規則」文書から概要を
●この海軍装備品(官品)スマホは、当初、iPhone 5S と6 models(IOS 8搭載)で開始する。
●当該官品スマホには、Good Technology社が開発した「Good Container」ソフトが搭載され、公用の通信は「Good Container」内のみで実施可能である
●官品スマホ使用者は、公務用以外のアプリをiTunes又はthe Androidショップを通じて私費で購入しスマホに搭載可能だが、「Good Container」外で使用しなければならない
●私用でのスマホ使用に関する利用料は、個人の私費でまかなうものとし、私用使用に関し責任を負う。
●本技術は、(今後)新しい「iPhones/IOS versions」や「Androids」にも対応することになる
●私物のスマホに「Good Container」を導入することは許可しない
●カメラ機能をハード的に制約はしないが、従来の各部署の指揮官が定めるカメラ使用規則に基づき、官品スマホのカメラを使用する
その他、複数の「パスワード」を設定することや、「TEMPEST」に関する規定もあるようです
米海軍トップから各部隊への関連通知文書
→http://www.public.navy.mil/bupers-npc/reference/messages/Documents/NAVADMINS/NAV2015/NAV15092.txt
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色々な見方が出来ると思います。
IT担当海軍中将が述べているように、作戦運用面での要求に応えるために技術部門が対応した、とも言えましょう。
冒頭で述べたように、スマホがあまりに便利なため、制限ばかりしていると「福利厚生面」で兵士のモチベーションが支えられない現実も在ると思います
でも大きいのは、民間の技術開発速度が、軍事分野の技術開発に比して、遥かに早くて効率的だということです
それだけの機能のものが広く民間に出回り、中学生でも使っているということです。その危機感が、先日ご紹介した「カーター長官のシリコンバレー詣で」につながったわけです
「国防長官がシリコンバレーとの連携追求」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25