6日付Defense-Newsが、海外の軍事専門家による自衛隊戦闘機の分析を紹介しています。タイトルは「日本の戦闘機調達の危機」で、F-15やF-2の後をどうすべきかの判断を近く迫られるだろうとの味方を紹介しています
一方で、F-35導入については肯定的で、従来の空中戦能力への評価ではなく、センサーや情報融合アセットとしての評価と、米軍や海上自衛隊アセットとの情報融合や情報リレー能力を評価しての前向き評価です
飛行場や関連インフラの脆弱性を無視した評価が気になりますが、取りあえずご紹介します
6日付Defense-News記事によれば
●F-35は日本に、次世代のISR能力や電子戦能力を提供するだろうが、F-15とF-2の後継問題が2020年代半ば以降に問題になると専門家は語った
●日本はゆっくりだが安定的に42機のF-35を購入する。今年も6機約1000億円を投資し、その他部品や軍需産業への投資に350億円を投入する
●航空専門家のRichard Aboulafia氏は、「F-35は速度、上昇性能、機動性、行動半径、搭載量ではさほどではない。しかし、ステルス性と優れたセンサーとセンサー情報融合能力を提供する。センサーと状況把握能力により、数十機でも航空自衛隊の能力向上に貢献する」と評価している
●同氏は「F-35の高価格は他国にとって調達状の大きな障害だが、日本はこれまでも戦闘機に多額を支出してきており、その点ではF-2等と変わりないだろう」と見ている
●Aboulafiaは日本が早期警戒機や空中給油機などの「enabler」を効果的に調達していると述べる一方で、F-15やF-2へのスローで少数機への投資を残念だと評した
●またF-15やF-2も永久には使用できず、今後10年で厳しい選択を迫られるとし、F-2は2020年台後半に退役を始めると語った。F-15はより長寿だが限界があるとも述べた
相互運用性や海軍アセットとの連携
●別の専門家Corey Wallace氏はより戦略的意味で、F-35が米空軍や米海軍や海上自衛隊との連携作戦能力や作戦柔軟性を向上させると評価している。F-35の電子戦能力と共に、センサーと情報融合能力で他のシステムにも貢献する
●Wallace氏は、特に防衛省はF-35が第4世代機や無人機の状況認識を向上させ、米軍との相互運用性を向上させると期待しており、また日本のイージス艦の(射程)距離を延伸することが出来、ネットワークの活用でイージス艦をF-35のウイングマンとして活用し、イージス艦のミサイルの射程を延伸するとの見方を示した
F-15の延命活用を米空軍と共に
●日本在住の専門家は「F-2はひどい航空機だ。日本人に聞いて見ろ」、「F-2は保管して、F-15への投資に振り向けるべきだ。F-22だったはずのF-15の後継が決まっていないことだし」と述べ、
●「米空軍はF-15を2040年代まで使用する計画だから、機体寿命の残った日本のF-15を生かすため、米空軍と協力して経費削減を図りつつ維持改修等を検討すべきだ」とも提案した
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日本の実情を十分把握していないのでは・・・と思われる部分もあります。
また、中国が弾道・巡航ミサイルを重視し、日本の飛行場や航空関連インフラの脆弱性が急速に高まっていることを無視した評価にストレスがたまりますが、それはそれとして・・・
F-35に、そのセンサーや情報融合能力、また電子戦能力に期待するのは正しい見方でしょう。米海軍はF-35をセンサーとして最前線に差し出し、その情報を基にFA-18やイージス艦から兵器を発射するNIFC-CA構想を温めていますから。
しかし、日本のF-35が第4世代戦闘機を従えたり、日本のイージス艦の射程を延伸する様な機能整備は体力的に難しいと思います
更に、「日本はこれまでも戦闘機に多額を支出」だからF-35も大丈夫といわれると、泣きたくなります。もう勘弁して欲しいです。
米空軍と協力し、F-15の延命や有効活用を考えるアイデアには大賛成です!!! これで十分です!
米海軍のF-35活用コンセプト
「米海軍NIFC-CA構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23