米陸軍:欧州への重装備集積を強化へ

Hodges.jpgロシア軍の活動活発化を受け、米陸軍幹部から欧州での米陸軍活動や装備の事前集積を推進する発言が相次いでいます。
冷戦末期には、最大で30万人の米陸軍が存在した欧州ですが、現在では3万人規模に縮小され、米陸軍全体が今後更に少なくとも4万人削減される中、情勢にかかわらず増員は期待出来ない模様です
しかし、戦車等の重装備の事前集積や、米本土の特定部隊を指定することにより、ローテーションの展開訓練等でなるべくプレゼンスや抑止力を維持しようとの取り組みがあるようです
15日付Defense-News記事によれば
Odierno4.jpg最近1万人を削減し、今後3年間で更に1700名を削減して3万人体制となる欧州米陸軍に関し、10日付WSJ紙のインタビューに答えたOdierno陸軍参謀総長は、更に追加で1個旅団分の戦車、戦闘装甲車、自走砲等々の装備を欧州に事前集積したいと語った
既に米陸軍は1個旅団分の戦車等の欧州事前集積を決定しており、それらの装備は12月末までには欧州に輸送される予定である。今回の参謀総長の発言は、これに加えて更に事前集積を増加したいとの希望である
当初の事前集積は「EAS:European Activity Set」と呼ばれバルト3国、ポーランド、ルーマニア、ドイツ等に分散して集積され、ローテーション米陸軍部隊や展開する周辺諸国軍部隊が使用出来ることになる。1個旅団分で計約1200両になるEASには、戦車220両や戦闘装甲車、自走砲等々が含まれる
●昨年春、米国の欧州への関与を示すため、米陸軍は「Operation Atlantic Resolve」を開始し、バルト3国やポーランドで一連の演習等を行い、その後更に対象国はルーマニア、ブルガリア等にも広がっている
今回Odierno大将が要望した2つめの旅団規模事前集積は、「APS:Army Prepositioned Stocks」と言われるものである。
●ただBen Hodges欧州米陸軍司令官は、ASPが決定したわけではないと語り、他の米陸軍幹部はどこから関連装備を持ってくるかも決まっていないと述べている
Hodges2.jpg●米陸軍幹部は、コロラド州所在の第4師団12000名を欧州専用の部隊に指定することを検討しているようで、既に同師団の副指揮官が欧州に派遣されている。
●また第1旅団戦闘チームや第3旅団飛行大隊関係者も欧州に展開している。また第10特殊作戦群も派遣されているようだ。
●だだしHodges大将は、第4師団等の配属変更等については何も決まっていないと述べるにとどめた。しかし「現地では素晴らしいシナジー効果が発揮されている」とも語っている
●Hodges中将は、航空戦力の増強を来年の演習要求への対応だと説明した。しかし米国は昨年9月のNATOサミットで、攻撃ヘリを「VJTF:Very High Readiness Joint Task Force」に提供すると約束している
●Hodges中将はまた、若手士官当時に米陸軍が30万人欧州に所在した当時と比較しつつ、3万人の現兵力は遙かに多忙な日々を過ごしていると語り、「通常の米陸軍部隊に比して、2倍の活動を強いられている」と訴えている
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7日の上院軍事委員会SASCで、統合参謀本部議長就任の承認を得るため出席したDunford海兵隊司令官が、「ロシアが最大の脅威」と明言しましたが、副議長の候補であるPaul Selva空軍大将も同じ事を14日にSASCで強調しています。
「次の米軍トップ:ロシアが最大の脅威」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-10
東欧.jpgウクライナ周辺、バルト3国、ポーランド、ルーマニアのロシア国境周辺では、ロシア軍の配置に動きがあるようで、新たな攻勢に向けた準備ではとの報道も見られます
本当に「きな臭く」なってきた欧州戦線です。ギリシャ問題で各国首脳が集まった際は、ロシア問題も話題になっているかも知れません・・・
「EAS」と「APS」は覚えておきましょう。頻繁に耳にするようになるかも・・・

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