7日付中国国営英字紙「China Daily」が1面ぶち抜き記事で、中国軍は長距離戦略爆撃機を保有すべきだとの結論に至った中国軍内の会議の様子を報じているようです。
力の入った特集記事ながら、カナダが拠点の中国軍事を中心に扱う月刊誌「漢和防務評論:Kanwa Defense Review」の最新号を引用する記事で、何やら位置づけが微妙ですが、とりあえずご紹介しておきます
7日付Defense-News記事によれば
(孫引きの典型ですが・・・)
●7日付中国国営の英字紙「China Daily」は、「漢和防務評論:Kanwa Defense Review」の最新号を引用しつつ、フルページの特集記事を掲載し、中国は長距離戦略爆撃機を開発する必要があると報じている
●中国は国防費を長らく二桁成長させ、空母や潜水艦や水上艦艇等の海軍力を急激に増強してきているが、「China Daily」によれば、中国軍内の会議で中国空軍を「戦略軍」と見なす議論が行われた模様である
●これまで中国軍内では、(弾道ミサイルを扱う)第2砲兵が「戦略軍」として言及されてきたが、空軍にもこの言葉を当てはめようとする動きがある模様
●同記事は、中国軍内の会議で、長距離戦略爆撃機の導入により「第2列島線」(日本、小笠原諸島、硫黄島、グアム島を結ぶライン)までを攻撃出来る能力を獲得すべきとの合意が得られたと報じている
●同紙は、長距離爆撃機は紛争時や緊急事態時に外国軍の介入を阻止すると紹介している
●5月に中国国務院が発表した「白書」には、中国はその軍事力を、海洋国境を越え、より積極的に空でも展開するとの記述がある
●同紙によれば、中国では長距離戦略爆撃機を、10トン以上の対地攻撃兵器を搭載でき、空中給油無しで少なくとも行動半径8000km(5000nm)が可能なものと定義している
●また同紙は、中国の軍事技術雑誌が先月連載した記事も紹介し、長距離ステルス爆撃機が必要だと報じ、「中距離爆撃機では中国軍の弱点である戦略攻撃や戦略抑止の課題が克服出来ない」「敵防空網を突破可能な戦略爆撃機が真に求められている」とも記述している
●しかし一方で、記事は同紙Wang Yanan副編集長のコメント「同爆撃機獲得には高レベルの航空構造力学と高性能ターボファンエンジンが必要」、「しかしこれら全ては中国航空産業が直面する課題である」、「これらの課題が短期間で克服可能とは考えにくい」も紹介している
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ちなみに、中国が現在保有する爆撃機H-6シリーズは、60年以上前にソ連が開発したTu-16を原形としたもので、爆弾搭載量9トン、航続距離6000km(行動半径3000km)と言われています。
なお米軍のB-52は搭載27トン行動半径1万キロで、B-2ステルス爆撃機は22トンの5000kmと言われています
兵器搭載量10トンはかなり控えめで、ステルス性を追求するためかも知れません。
個人的には、長距離爆撃機より弾道・巡航ミサイルに投資した方が効率的とは思いますが、何より目を引くのが冷静冷徹な「副編集長のコメント」です。
このようなしっかりした軍事的視点が一般紙に登場するあたりは、真に中国が軍事的能力を高めてきた証拠とも言えましょう