露製RD-180の追加調達を:米空軍が訴え

Space X社の打ち上げ失敗報道の中で・・・
RD-180 2.jpg26日、米空軍宇宙コマンドのJohn Hyten司令官は下院軍事小委員会で露製ロケットエンジンRD-180に依存している「Atlas V」ロケットに関し、複数の米軍需産業が代替エンジンを2019年までに自力開発可能だと主張している点に関し、全力で開発に協力するが、2019年の期限は厳しいはずだと訴えました
そしてHyten大将は、開発が間に合わない可能性も踏まえ、ロシア製RD-180のまとめ買いを行うべきだと主張しました。
これまでも数回取り上げた課題ですが、横暴なロシアに米国の安全保障衛星打ち上げが依存していることに居耐えられない政治家等が強硬に「代替エンジン開発」推進派で有り、今後も揉めそうです
29日付米空軍協会web記事によれば
Hyten2.jpg●26日の下院軍事委員会の戦略小委員会で、露製RD-180ロケットエンジンの代替開発に参画する5つの軍需産業経営者は、そろって皆、2019年までにエンジン開発を行うと誓ったが、安全保障関連ロケット打ち上げを担当する米空軍幹部は、全く異なる見解を示した
●米空軍宇宙コマンドのJohn Hyten司令官は、新たに開発されるエンジンがどのようなものであろうと、現有ULA社の「Atlas V」ロケットの大がかりな改修や新ロケットが必要になり、改修や新ロケットの確認には更に数年必要だ(つまり2019年までに完成しない)と警鐘を発した
●Hyten司令官の発言に関しては、米国防省のKatrina McFarland調達担当次官補も「RD-180代わりにピッタリの代替品はない」と認めている
●一方で、同小委員会ロジャース委員長は米国製ロケットエンジン開発を議会は承認しており、「リスクがあり高価な開発だとは認識していない」と語っている
2018~22年のギャップが課題
Hyten.jpgHyten司令官とGreaves宇宙ミサイルシステムセンター長(少将)は、議会がこれ以上のRD-180輸入を認めない場合、新エンジン完成までの間に大型衛星打ち上げの「間隙:a multi-year gap」が生じる恐れがあると警告した
●宇宙へのアクセス確保は米国の安全保障にとって死活的問題だが、現在発注している5基のRD-180を使い尽くす2017年以降、「2018~22年のギャップ」が私(Hyten司令官)の懸念事項だと述べた
下院軍事委員会は合計14基のRD-180購入に同意の方向だが、上院軍事委員会のマケイン委員長は追加購入に反対の立場で、両院間の調整が行われている
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一方「RD-180」製造ロシア企業もピンチ
米国が「RD-180」の唯一の輸出先であるロシアの著名な宇宙産業NPO Energomashは、米国が輸入を中止すれば経営危機に陥るだろうとの記事
→http://www.defensenews.com/story/defense/air-space/space/2015/04/12/rd180-russia-energomash-threat/25403135/
世界は深く相互依存が進んでおり、複雑です・・・。
でもHyten司令官の懸念はもっともです。
「Atlas V」に新エンジンを搭載する場合、新エンジンがRD-180のコピーに近いものであっても、その適合は旧エンジンとは異なり、しっかり確認知り必要があり、確認には数年必要なのでしょう。
企業側は「とりあえず契約獲得」が狙いですから、否定的な発言はしないでしょうし・・・
関連の過去記事
「露製エンジンを何基購入?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-2
「米国安堵;露製エンジン届く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-22
「露副首相が禁輸示唆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-22
「露製ロケットエンジンがピンチ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-18-1

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