対IS作戦におけるB-1爆撃機の活動

9th Bomb SQ2.jpg23日付Defense-News記事が、シリア北部の都市kobaniをISの攻撃から守るクルド人を支援し、対IS空爆を実施しているB-1爆撃機部隊へのインタビュー記事を掲載しています。
日本が保有していない大型爆撃機の運用を「垣間見る」機会として、また戸惑いながらも、アフガンとは全く異なる任務環境で作戦に取り組む第9爆撃機飛行隊の模様をご紹介します
23日付Defense-News記事によれば
テキサス州のDyess空軍基地所属の第9爆撃機飛行隊は、約5ヶ月間、シリアの都市Kobaniでの対IS作戦に焦点を当て、空爆任務に取り組んだ
クルド人がISから死守すべく戦っているKobaniだが、ISが継続して戦力を投入してくるため攻撃目標は尽きず、500ポンド爆弾なら84発は搭載出来るB-1は、1回空中給油受けて最大連続10時間の任務についている
9th Bomb SQ.jpg●第9爆撃機飛行隊は約5ヶ月で660発の爆弾をKobaniに投下しており、この量は同期間の対IS作戦の1/3の爆弾量に相当する。戦果として1000名以上のIS戦闘員を排除している
●同爆撃飛行隊が展開任務を終了した1月末までに、クルド人はKobaniでの勝利を宣言し、IS支援の放送局は空爆によりISは撤退を余儀なくされたと放送していた。
●そして現在もKobaniはクルド人が支配しているが、IS勢力による侵攻は衰えていない
アフガン任務から突然の変更と戸惑い
●同飛行隊は2014年7月にカタールの空軍基地へ展開し、同年8月8日にアフガンでの任務に向け離陸直前にシリア内での対IS任務を突然命ぜられた。インタビューに対し搭乗員であった少佐は「アフガンでの任務準備をして乗り込んだ機内で、離陸滑走直前に行く先と攻撃目標が変更された」と答えている
多くの兵士が初めての海外展開で、アフガニスタンでの勤務に少しづつ慣れてきたばかりのタイミングであった
9th Bomb SQ4.jpgアフガニスタンでの任務を知る搭乗員にとって、対IS作戦は全く異なっていた。彼らは市街地の目標と対峙しなければならなくなったのだ。ISは前進して都市の象徴的施設等を占領するスタイルだったのだ
●またアフガンでは地上要員による目標情報の提供があったが、対ISでは地上要員が配備されていなかったのも大きな相異である。対ISでB-1搭乗員は、クルド人からの多様な情報や、多国籍軍のISR情報と自身のセンサーからの情報から類推して目標を特定していた
●アフガンに比し、空爆任務も増大した。60時間の間に2回飛行するペースで、10時間の実飛行時間の他に、地上での様々な準備と結果分析を含め、24時間連続任務も行われていた。整備員の1回の勤務時間も15時間にまで達するようになっていた。
一般市民の巻き添え防止に努力するも
●本年1月に6ヶ月の展開を終えて帰国するまでに、同飛行隊は2000発以上のJDAMを投下したが、過去5年間の6ヶ月海外派遣の中で最大投下数だった
B-1爆弾格納庫を空にして帰投する「Winchester」も31回達成した。対ISのような周辺被害を気に掛ける任務で、これだけの「Winchester」は搭乗員と整備員等が共に誇りとするところである
9th Bomb SQ3.jpg市民の巻き添えを避けるため米軍は慎重な交戦既定を設定しているが、市街地や市民に紛れるISとの対峙は容易ではない。米軍の空爆を精査している民間団体は今月、昨年1年間で、57回の空爆で459名の民間人が巻き添え死しており、友軍相撃で48名の兵士が死亡した可能性があると発表している
●米国防省自身も同調査に対応し、これまでに4件の事案について精査し、3件に関し民間人の巻き添えはないと結論付け、他の1件で2名の巻き添えがあったと発表している
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対IS空爆任務で飛び立った米軍の各種作戦機の内、目標を特定して攻撃出来たのは「僅か3割」に過ぎず、他の7割は民間人の存在や目標を発見出来なかったために帰投しているとの報道が有り、米軍搭乗員に「不満がたまっている」と議会で取り上げられました。
米軍は「前線は指揮高くやっている。民間人の被害極限の重要性を理解し、粘り強く作戦を遂行している」と回答していますが、議会は「Boots on the ground」の必要性を政府側に問いただしていました。
この記事も米政府及び米軍主張に寄り添った書きぶりなのでしょうが、前線搭乗員の間では、ますますフラストレーションが貯まっているのでしょう。
日本にいると、アフガンも対IS作戦も同じような印象ですが、前線では混乱や戸惑いが広がっているようです。「事件は現場で起こっている・・・」でしょうか

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