復活ペトレイアスが上院軍事委員会で
「シリアは地政学上のチェルノブイリだ」
22日、2012年11月に不倫及び微かな秘密漏洩の疑いでCIA長官を辞任したDavid Petraeus退役大将が、上院軍事委員会で中東情勢について語りました。
上記の罪で、執行猶予2年と罰金1200万円を課せられてたPetraeus元CIA長官ですが、上院軍事委員会の議員からの信頼感は絶大で、今回のワシントン論壇への復活となったようです
証言の冒頭で同退役大将は、「4年前、私は大きな過ちを犯し、私を支えてくれていた人々の信頼を裏切った。また私がそれまでの人生を賭けて大切にしてきた価値を犯すものであった」と謝罪しました。
Petraeus氏は、謝罪を述べる必要があったのかと記者団に問われ、証言後「私の身体がそうさせたのだ」と答えています。そういう人なんです。
4年も前の裁きが下った出来事を謝罪するこの言葉に、軍事委員会のメンバーは、「私の知る最も優れた指導者の一人だ:マケイン議員」、「彼ほど信頼のおける人物はいない:Sessions議員」、「正に彼の人柄が現れた謝罪だった:King議員」と委員会後に語っています
シリアを中心に中東情勢について
●平和と安定を求める国際社会が、全ての紛争に米国の関与を求めるわけではないが、我が国が尊重する国際社会の基本秩序を根本から脅かすような事態に直面し、米国が効果的に対処しなかったら、我が国の秩序への関与が疑われ、更なる危機を招くことになる
●シリアは地政学的なチャルノブイリ化の様相を見せており、過激主義と混沌の中にある。原子炉事故のように、シリアの炉心融解は米国を今後数十年脅かすことになり、長く続くほど悪影響やダメージは大きくなる。米国はアサド政権により厳しく攻勢的に対処すべきだ
●米国は、シリアのアサド政権とその航空戦力により攻勢的に対処すべきである。ISISと戦うスーニ派を守り、事態の激化と大量難民を生み出しているシリア空軍によるスーニ派爆撃を阻止すべきである
●シリア空軍の飛行を阻止し、難民が保護されるエリアを設定し、穏健シリア軍に米軍と連携可能な無線機等の装備を提供すべきである。ただし、武器の提供は横流しの恐れや民間航空機の危険を高める可能性もあり慎重であるべき
●穏健シリア兵の養成訓練は止めるべきではない。地上に支援対象となる勢力が存在しなければ、何も達成できない。彼らに支援を止めないと約束するべきである
●ただし、アサド大統領の後に何が現れるか判らない段階で、アサド排除を急ぐべきではない。例えば、米国の積極関与がなければ、ロシアが入り込むことになる。プーチンは帝国の復活を求め、中東諸国への関与を復活させたいと考えている。シリア地中海沿岸の港湾確保がその目的の一つだ
●米国はロシアのように挑発的である必要はないが、確固で強固である必要がある
イラクやイラン情勢に関しては・・・
●イラクではより大きな人的関与が望ましい。ISISと戦うイラク軍の旅団レベルに従軍アドバイザーを置き、例えばJTAC(航空攻撃を地上から誘導する要員)を育成することも有用だ。
●ただし、イラク軍に米軍が取って代わるようなことは抑制すべきで、また大隊レベル以下に米兵が従軍すべきではない。あくまでもアドバイザー派遣であり、戦術レベルの部隊派遣ではない
●イランとの核合意に関しては、短期的な安定は期待できるかもしれないが、イランが軍事用の核燃料濃縮に関する合意を遵守するか、徹底的に確認すべきである。
●また米国は、アラブ諸国やイスラエルと協力し、イランの不穏な動きに対応すべきである。同時に、カーター国防長官が呼びかけている湾岸諸国による融合されたBMD態勢構築等の、地域共同の取り組みを推進すべき。湾岸諸国個々の、飽くなき兵器システム要求には慎重に対応すべき
////////////////////////////////////////////////////////
まず何よりも、ペトレイアス氏の復活を喜びたいと思います
そして、何の利害にも捕らわれない、真の愛国者としての情勢分析と提言に耳を傾け、思索を深めたいと思います
ペトレイアス氏が、ロシアによるアサド支援の大航空戦力派遣や物資提供を意識して発言していることは間違いなく、これへの対処がなによる優先されるべきなのでしょう
ただ提言を実行すれば、米航空戦力とロシア航空戦力がロシア航空戦力がシリア上空で遭遇する可能性が高まり、「一触即発の偶発事態」を招きかねないことにも留意すべきでしょう
チョットしばらく中東から目が離せません。習近平の訪米がありますが・・・
ペトレイアス元大将&CIA長官関連
「CIA長官にオバマが推薦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-29
「陸軍退官式スピーチ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-01
「半世紀ぶり:5つ星へ昇任か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-16-1
連休ぼけを払拭する記事3本
「RANDが米軍VS中国軍を分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-18
「イラン核合意で中露が大躍進へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-08
「シリアに露軍機50機進出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-21