24日頃、米アフリカ軍司令官のDavid Rodriguez陸軍大将は記者団に対し、中国がアフリカ大陸初の基地をアフリカ東岸紅海沿岸の「Djibouti」に設けることで同国と合意したと語りました。
同司令官は細部には言及しませんでしたが、同国と中国軍施設を10年間維持する合意が結ばれているとのことで、今後の動向が注目されます
米国としては、中国が国際社会の一員として活動している数少ない肯定的活動「アデン湾での海賊対処」関連でもあるため、慎重に刺激しないように動向を見守っているのでしょう
25日付米海軍協会web記事によれば
●Rodriguez司令官は「彼らはジブチに基地を建設する。アフリカ大陸で最初の中国軍基地となる」と語り、本年に入り数ヶ月にわたり中国がアフリカに拠点を求めて活動していたことを認めた
●また同司令官は、中国とジブチが施設設置に関する10年間の合意を結んでいることも明らかにし、同基地は兵站支援基地となり「彼らの行動範囲を拡大するだろう」と語った
●本件に関連し、ジブチのGuelleh大統領は本年初めに、「フランスは古くから所在し、米国は対テロ活動のため我が国に拠点を置いている」、「日本は海賊対処のために所在を希望している所だが、今度は中国が国益を守るための展開を希望してきた。歓迎する」と述べていたところ
●中国とジブチは、2014年4月に「defense and security pact」に署名しており、これが基地設置の基礎となっている
●ジブチは中国の海賊対処活動の重要拠点となっており、中国海軍が海賊対処活動を開始した2008年12月以降、50回以上ジブチのObock港を利用している
●中国軍の拠点が出来る可能性があるのは、米軍の拠点があるCamp Lemonnierの北東約30nmの「Obock港」地域か、より米軍拠点に近い「Doraleh」港であろう
24日付「The Hill」によれば
●Atlantic CouncilのPhamアフリカ部長は、従来のように中国艦艇が寄港する度に費用を支払うより基地を設置した方が安上がりだし、中国がシーレーン防衛に大きな役割を果たせば国際的な地位向上にも貢献すると語っている
●基地設置により飛行場を確保出来た場合、アラビア半島から中央アフリカに至る情報収集を飛躍的に改善出来ることとなる
●上院外交委員会の有力メンバーであるChris Coons議員は、「中国のアフリカ進出には注目する必要がある。アフリカ諸国の中間層はこれまでになく急成長しており、これを狙う中国企業や中国政府と米国の利害は必ずしも一致しない」と注意喚起している
●ハリス太平洋軍司令官はHalifaxでの講演で、「鄧小平が掲げ望んでいた「皆が受け入れられる解決の模索」から離れ、忍耐強い国から先を急ぐ国への変わってしまった」と表現していた
●Rodriguez司令官は、現時点で、中国のアフリカでの行動は挑発的ではなく、国連活動やアフリカ諸国軍の訓練に従事しているも表現している
8月の産経記事等によれば
●Djiboutiは人口83万人の小国で、住民のほとんどがイスラム教徒の貧しい国。同国のCamp Lemonnierには、海軍を中心とした米軍人約4000名が展開し、海賊対処や地域の要請に応えるための艦艇や航空機等の展開への支援、またアフリカ諸国との関係促進のために所在している
●自衛隊もソマリア沖のアデン湾に出没する海賊から商船を守る目的で2009年からP-3C哨戒機と護衛艦を派遣。2011年には海賊対処の拠点となる基地を設け、海上自衛隊や陸上自衛隊の隊員約180人が活動を続けている
●ジブチは親米路線をとっていたことで知られていたが、今年に入り、ゲレ大統領が5月、ジブチに基地を設置するための協議を中国と行っており、中国の進出を歓迎すると、コメントした
●ジブチと中国の関係は良好で、中国はジブチの空港、港湾、鉄道などのインフラ整備にこれまで90億ドルを供与
●中国が基地の建設を計画しているのがジブチ北部のオボック(Obock)。基地が完成すれば、中国はフリゲート艦や補給艦などの海軍艦艇を恒常的に配置することが可能になる。
●海軍艦艇の寄港だけでなく、中国は基地を航空機の発着に利用しようとするのは確実とみられ、「大型機の発着が可能な滑走路ができれば、中国本土から直接、兵員などを搭載した輸送機が飛来することも可能になる」と防衛省幹部は注目している
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これだけで何か語れるわけではありませんが、中国とアフリカの関係を見る上での「サンプル」又は「指標」として今後の動向が注目されましょう。
こんな単純化した言い方は好みではありませんが、ジブチの歴史を振り返るに、醜い植民地主義の歴史を学ぶ「縮図」の様な気がします
中国の動きは心配ですが、一方で欧米諸国をアジアの中国が脅かすのを、何らかの爽快感を持って見つめてしまうジブチの歴史です
wikipedia「ジブチ」
→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%81