22日付米海軍協会web記事がAPの報道等を引用し、米海軍の戦略ミサイル原潜(SSBN)がスコットランドに寄港したことが確認され、12年ぶりに戦略原潜による海外寄港が再開されたと紹介しています
「911同時多発テロ」を発端とする治安や警備への不安から、2003年を最後にSLBM(潜水艦発射核弾道ミサイル)搭載の原子力潜水艦は海外寄港を中断しており、それ以来の再開だと。
再開の理由は何とわかりやすく、潜水艦乗組員の士気高揚だとか。最近のISIS関連のテロで再度中断にならないことをお祈り申し上げます
22日付米海軍協会web記事によれば
●21日付のAP報道によれば、最近米海軍の戦略原潜USS Wyoming (SSBN-742)がスコットランドのFaslane港に寄港した。この海外寄港は、2003年に警備上の懸念から中断されて以来初の寄港となり、今後「不定期に」海外寄港が再開される
●米海軍の潜水艦でも、核兵器を搭載しない攻撃型原潜(SNN)は、フィリピン、Diego Garcia、韓国等に海外寄港してきたが、戦略核ミサイル原潜は滅多に浮上せず、米海軍基地のみに寄港していた
●米海軍の潜水艦隊司令官を本年9月まで3年間勤めてきたMichael Connor退役海軍中将によれば、海外寄港の再開は、戦略原潜のプレゼンスを示す機会であると同時に、他の海軍兵士が体験できる海外経験や海外との交流のチャンスを戦略原潜乗員に提供する重要なものである
●Connor前潜水艦隊司令官は、「戦略原潜の水中警戒待機(パトロール)任務の度に必ず与えられる機会ではないにしろ、海外寄港のチャンスがあると言うことは乗員にとって大きな魅力だ」と解説し、
●「私には判る。これは大きな士気高揚につながる。海外寄港は海軍兵士に志願する動機の大きな部分だ。海外に上陸する資格を得るため、乗員は複雑な任務をこなす知識や技能の維持向上に努力するのだ」とも語った
●米潜水艦隊の報道官Tommy Crosby中佐はAPに対し、米海軍は2003年、貴重な核抑止3本柱を担う戦略原潜をリスクを負わせられないと考え海外寄港を中止したと語り、またそれ以前にも、戦略原潜の隻数が18隻から14隻に削減されたことで、寄港にチャンスは減少していたと語っている
●スコットランドが再開後初の寄港先になった理由を問われた同報道官は、「米英間の協力関係と相互運用性を強化し、米潜水艦隊の能力と柔軟性と同盟国へのコミットメントを示すためだ」と答えた
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米海軍の戦略原潜が削減されたのは、米露の戦略兵器削減交渉により核弾頭が削減されたことが理由でしょう。
そういえばスコットランドが英国からの独立を企てた際、英海軍の戦略原潜の基地がスコットランドのみにあり、代替基地確保が事実上不可能で大きな話題になったことを思い出しました
米戦略原潜は2010年に女性兵士を受け入れを始め、バージニア級攻撃原潜も2015年1月から受け入れているはずですが、引き続き人材確保や士気維持に苦労しているのでしょう。
でも、ISISによるテロが世界で頻発する中、このタイミングでの海外寄港再開は勇気のいる決断だと思います。非核3原則の日本に寄港する事は困難でしょうが、是非見てみたいものです。
ところで、日本でも海上自衛隊は人材確保に苦労しています。少子化や景気回復で一般企業の採用意欲が高まっているからですが、貴重な自衛隊志願者を「無駄に定員が大きい」陸上自衛隊が吸い取っていることの影響も甚大です
陸自の定員削減は喫緊の課題です! 弾薬予算の削減に歩調を合わせ、定員も削減したらどう!
潜水艦への女性の乗艦
「攻撃型原潜にも女性が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-20
「大統領が24名の潜水艦女性を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-30-1
「女性24名が潜水艦へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-22
年末年始に長期休暇の陸自を許すな
「ブラックホール陸上自衛隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-23
「陸自の組織防衛を許すな!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-17
「読売も社説:陸自削減を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-21
「国防より組織防衛」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-16
「CSBA便乗の陸自OB論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12
「吉富論文と同列の中澤論文」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-10