米空軍がNGOを活用し暴力事案削減へ

米空軍が「部外力」を借りて風紀の乱れ対処へ
ついにここまで・・この組織は大丈夫か?
Green Dot.jpg12月30日付米空軍web記事によれば、米空軍は組織内で大きな問題となっている「暴力事案:interpersonal violence」への対策に5カ年計画で取り組み、最初の3年間で民間NGO「Green Dot」から暴力防止手段の手ほどきを受け、組織内に普及するそうです。
米空軍から統合参謀本部議長が選ばれないのは、この暴力事案等の服務の乱れに全く改善の方向が見られないことが大きな原因の一つで、性的暴力やICBM部隊の著しい士気低下と不正行為の蔓延に象徴されています。
もちろんその背景には、「思考範囲が狭く組織の多様性を反映できない」と米国防省や米政権首脳から見なされている戦闘機操縦者が、組織を支配して投資から人事までを牛耳る組織文化や硬直性があります
対象となる「暴力事案」には、「sexual violence」:性的暴行」「domestic violence」:家庭内暴力」「dating violence:デートでの暴力」「stalking:ストーカー行為」「child abuse:児童虐待」「elder abuse:高齢者虐待」「bullying:いじめ」が含まれると記事は触れており、問題の根深さが伺えます
12月30日付米空軍web記事によれば
Tharp violence.jpg●NGO「Green Dot」は今後3年間、米空軍に対し暴力防止対策の手段を提供する契約を結んだ。まず同NGOは、3月までに全米軍基地の暴力防止リーダーとなる1500名に対し教育を行い、教育を受けた中核要員が各基地のリーダーを育成し、全空軍兵士に教育が届くようにする
●また同NGOは、各基地が保有する各種機構や組織を通じて暴力防止対策の実施状況を確認し、基地の幹部たちに提供する
●米空軍司令部で本件を担当するAndra Tharp博士は、「同NGOの活用は、公衆衛生の分野で実証済みの暴力防止対策を空軍兵士に提供する第一歩である」、「複雑に見えるかもしれないが、科学的なテストや有効性が確認済みの手法を適応するということだ」と説明している
●米空軍の基地運営観察を担当するCAIB委員長のLenny Richoux准将は、「職場や家庭や地域社会で暴力を振う兵士よりも、それらの兵士をケアしたいと考える兵士の方が多く存在する。全空軍兵士が協力してくれると信じている」と語った
Richoux.jpg●また同准将は、「医療関係者や性的暴力防止策との連携や、職務満足度を高める組織との協力が不可欠だ」、「かつてのアナログな指揮官や監督者の取り組みや、空軍兵士間の協力が成功には不可欠だ」と訴えている
●担当する下士官代表のMelanie Noel最上級軍曹は、「空軍兵士にどうしたら暴力行為を防止できるかを理解させる支援が必要だ。その第一歩である。暴力防止のため、時間と努力を投入する必要がある」と表現している
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ご紹介した3名の発言から、事態の切迫度合いを感じていただけるかと思います。
公式発言において、問題の存在自体だけでなく、その深刻さを前提とした上で、対策だけに集中しているコメントから、組織崩壊の現場を見てきた担当者たちの危機感が伺えます
昨日ICBM部隊などの核運用部隊の問題もご紹介しましたが、いろんな側面で米軍が直面している問題に触れていただき、明日はわが身の危機感を共有したいものです
「副議長が大晦日に直接電話で激励」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-02
性的襲撃(sexual assault)問題の深刻さ
「国防長官が対策会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19  
「指揮官を集め対策会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-04
「海軍トップも苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-20
「女性5人に一人が被害」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-10
「空軍内で既に今年600件」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19-1
「米軍内レイプ問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19

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