12日、James空軍長官がAFA朝食会で講演し、F-35整備員を確保するため、他の空軍航空機の整備に民間業者を活用し、整備員をF-35に移動させる方向だと説明しました
米空軍は当初、A-10攻撃機を全廃してベテラン整備員をF-35部隊建設に投入する計画でしたが、対ISやロシア正面でA-10の重要性が叫ばれ、米空軍はA-10全廃を2022年以降に先送りせざるを得なくなりました
そこで苦肉の策として、他航空機の整備員を引きはがし、F-35に投入する方向を持ち出したのですが、他の作戦用航空アセットに外部民間人をすることの負の影響は、将来に渡り禍根を残すとJames長官自身も指摘しているところです
16日付米空軍協会web記事によれば
●12日、米空軍協会主催の朝食会で講演し、A-10退役を延期することになることから、民間契約業者に幾つかの現有航空機の兵站支援を実施させ、浮いた整備員等をF-35部隊建設に投入するとになろうが、長期的には米空軍に負の影響を与えると語った
●空軍長官は、民間委託することによる増加費用の詳細を現時点では正確に見積もれないとしたが、「間違いなくより多くの経費が必要となる」とか述べた
●懸念事項として空軍長官は、「民間業者が整備作業を身近に部隊で行うとなれば、結果として、直接または間接的に空軍整備員を民間企業に引きつけることになりかねない。そうでないことをいそうでないことを祈るが、注意していく必要がある」と語った
●更に1番の懸念事項として、F-35が完全運用体制に達する2030年頃に向け、熟練の整備員の絶対数が不足することだと述べ、「米空軍は未だその調達の目途がない」と認めた(A-10全廃しかその手段がないと暗に主張)
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米空軍整備員を民間企業に引き抜かれる「directly or indirectly, pull our own airmen into the private sector」と明確に懸念を述べる当たりが米国社会ですねぇ・・・
そんなモンなんでしょうねぇ・・・
戦闘機や攻撃機ではなく、輸送機等の航空機から民間整備員を導入したいのでしょうが、F-35整備員に転用するには戦闘機整備員が必要でしょうから、米空軍の苦悩は深いと思います
人材育成の側面からも、安易な民間委託は避けた方がよいと思いますが・・・。 今後の展開に注目しましょう
A-10攻撃機関連
「A-10全廃は延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-22
「シリアへ派遣」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-21
「米陸軍は全廃容認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-29
「視界不良:A-10議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-07
「CASを統合で議論したい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-16-1
「F-35整備員問題は何処へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-18
「米空軍:A-10はあくまで全廃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-15