17日付Defense-Newによれば、英国防省が太陽光発電で1ヶ月間も高高度を連続飛行が可能な無人機の確認を行い、高高度偵察等に関する運用コンセプト試験を行う模様です
具体的な発表は18日に英国防省が行う模様ですが、確認予定の太陽光無人機は、2010年に14日間の「連続飛行世界記録」打ち立てた機体の能力向上型で、来年中旬には初飛行の予定です
記事には具体的な運用コンセプトの記述はありませんが、非常に興味深い試みですのでご紹介します
17日付Defense-New記事によれば
●英国防省は、大気圏と宇宙との境界付近を飛行する太陽光無人機のデモ契約を結び、18日に発表する予定である
●この太陽光無人機はAirbus Defence and Space社が製造する「Zephyr 8」で、2~3機を関連システムを含めて約16億円で使用する模様。購入では無いので、機体価格は含まれていない
●「Zephyr 8」は、高度65000から70000フィートを連続1ヶ月間以上飛行可能な、「衛星の様な機能」を提供すると公表されている無人機で、昼間に太陽光で発電してバッテリーに蓄え、夜間も連続飛行する機体である
●なお、既存モデルの「Zephyr 7」は2010年に14日間の連続飛行に成功しているが、翼幅25mの新型「Zephyr 8」は「7」より3割軽量でバッテリー容量が5割増しになる設計である
●Airbus社の発表によれば、英国防省用の「Zephyr 8」初号機は現在製造中で、2017年中旬には初飛行の計画である。また英国防省は3機を調達予定である。また同社は、英国防省による同無人機の使用目的は非公開であるとも述べている
●なお英国防省が昨年11月発表の「戦略国防安保レビュー」では、常続的な偵察と通信中継のため、約4000億円を能力強化予算の一部を活用する方向が示されていた
●英国防調達相のPhilip Dunne氏は、「Zephyr 8」はデモ試験を行うものであり任務に就くことはなく、特定の基地に配備されることも無いから維持経費は発生しないと英議会で説明している
●またDunne大臣は「本契約により、Zephyrが高高度での常続的偵察任務を遂行可能かを把握することができる」とも説明した
●Airbus社幹部は、ドイツとシンガポールも「Zephyr 8」に関心を示していると語っている
/////////////////////////////////////////////////////
記事には機体を「purchase」とか「buy three machines」とかの表現があるのですが、「unit costs are not held」とも説明があり、「約16億円=£10 million」は安いので、レンタル契約と解釈で訳しました。
この様な、ゆったり低速で高高度を飛行する非ステルス機体を、どのような空域で、どのタイミングで使用する確認か興味深いですが、「使い捨て覚悟の早期警戒監視」や「安全な空域での衛星代替」とのコンセプトはあり得るかも知れません
本記事はなぜかシンガポール発で、航空自衛隊トップもシンガポール航空ショーに合わせ2月15日から18日に同国を訪問(http://www.mod.go.jp/asdf/news/houdou/H27/0212.html)してましたので、本件に関し何か勉強してきたかも知れません。
でも・・・、押しつけられたらしい「グローバルホーク」で手一杯ですかねぇ・・・
Zephyrと英国防省の取り組み
「冬の南半球で連続11日飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-29-1
高高度も利用
「驚嘆の中国軍UAV構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-12