東レ製の炭素繊維密輸未遂で中国人逮捕

carbon fiber5.jpgcarbon fiber2.jpg21日、米国司法省は、中国政府機関のため軍事用に東レ製炭素繊維(carbon fiber)を許可なく不正輸出しようとしていた中国人Fuyi Frank Sunを、おとり捜査により13日に逮捕したと発表しました
同容疑者は2011年から高品質炭素繊維の獲得に活動した模様で、ミサイルや航空機の機体、更には「ガス遠心分離機のローター」等々に中国当局や中国軍需産業が使用する狙いがあったようです
高級炭素繊維の具体的な軍事用途を承知しておらず、21日付Defense-News記事もあまり明確には記述していませんが、ここ数年、中国人が高品質炭素繊維の不正輸出容疑で逮捕される事件が続発しており、中国側のニーズが高いことを示しています。
加えて、東レの技術はすごいんだな・・・と改めて思いました
21日付Defense-News記事によれば
carbon fiber4.jpg●Sun容疑者は、国土安全保障省の捜査機関であるHIS(Homeland Security Investigations)のおとり捜査員(undercover agents:炭素繊維の売人を演じる)から、東レ製の「M60JB-3000-50B」を入手し、許可なく輸出しようとして逮捕された。また「M55JB-6K」にも関心を寄せていた模様
●当局によれば、同容疑者は炭素繊維を「バナナ」との隠語で呼び、11日に中国からニューヨークに移動、おとり捜査員に炭素繊維を中国軍用に購入すると語った。またかつて、中国の国家宇宙行政局に勤務し、中国のミサイル開発に従事していたとも語っている模様
●同容疑者はおとり捜査員に、炭素繊維代金として約250万円、危険を伴う仲介手数料として約22万円を支払った
●なおHISによるおとり捜査は、ネット上に様々な商品を展示して行われている。細部は不明だが、おとり店舗はニューヨークにある模様
●取り調べに対し同容疑者は、豪州やベルギーや韓国を経由しての不正取引も行っていた模様である。
●またおとり捜査員に対し、炭素繊維を「アクリル繊維」に見せかけるためラベルを偽装したり、バーコードを傷つけて追跡を不能にする等の指示をしていた模様
専門家の視点や過去の事例
●専門家は、今回の逮捕を「ミサイルや軍用炭素繊維の拡散を防ぐうえで前向きな出来事だ」と評価し、「炭素繊維が遠心分離器のローターにも活用できる」と警告した
●また同専門家は、中国が引き続きこのような不正取引を野放し、又は指示してやらせていることが明らかになったと評価している
carbon fiber.jpg●最近、兵器に使用できるレベルの炭素繊維に関する不正取引事案が多発している。2013年には同じくおとり捜査で、東レ「M60」を含む数トンの炭素繊維を中国籍の人物が輸出しようとして逮捕され、中国軍需企業NORINCOが新戦闘機を開発するために入手を試みたと証言している
●2014年には別の中国籍人が、東レ「T800-HB12000-50B」のサンプルを入手し、中国上海に不正輸出しようとして逮捕された。5トンの炭素繊維輸出を計画していた模様
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日本で「おとり捜査」など持ち出すと、途端に「人権派弁護士」や「憲法学者」などがマスコミをにぎわし、大騒ぎになりそうですが、不正輸出やサイバー等、新たな犯罪には新たな対処も必要でしょう。
東レの炭素繊維ですか・・・「東京の郊外」に引っ込んで以来、技術動向の変化に追随できていません。
熊本の被災地に大量のサランラップを無償提供したのも「東レ」(旭化成?)だったと思いますが、引き続き日本を代表する企業として頑張っていただきたいものです

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