中国海軍の巨大ミサイル巡洋艦1番艦「南昌」が就航

米軍アーレーバーク級イージス艦より巨大
航続距離が現主力052級の4倍で真の外洋能力獲得
空母と行動を共にすることが可能で空母攻撃群完成へ

Type 055 destroyer.jpg12日、中国海軍は1万2000トン級の新型駆逐艦「055型:Renhai class」の1番艦である「南昌」の就役式を山東省青島の軍港で行いました

中国海軍は055型を駆逐艦と呼んでいますが、排水量1万2-3000トンで全長が180mを超える規模であることから、米国防省は「巡洋艦: cruiser」と区分しています。報道では、アジア最強とか表現されていますが、この規模の巨大な軍艦を今建造している国は他にありません

同艦の構想は2009年ころにスタートしたと言われていますが、実際に衛星写真等で建造の様子が確認されたのは2014年からで、その後2017年6月28日に進水し、2019年4月23日に人民海軍成立70周年海上閲兵式に参加して大々的にお披露目されていました。

Type 055 destroyer2.jpg12日の同艦「就役式」は、文字通りであれば「任務を開始する式典」ですが、式典で艦長は「急ピッチで全システム・全科目の訓練を行い、作戦能力を形成し、戦闘体系への融合を急ぐ。南昌艦のプラットフォームとしての力を発揮し、使命と任務を果たす」と挨拶しており、艦艇に種々の装備の搭載が終わり、これから本格的に軍艦としての訓練を行って「任務遂行態勢」を確立する予定だと推測されます

この「055型:Renhai class」については、海軍駆逐艦の第3世代から第4世代への飛躍を意味するとか、アジア最強だとか、高い防空及び海上打撃能力を備えるとか、様々に表現されていますが、
以下では軍事専門誌ライターの「文谷数重」氏の評価をご紹介いたします。残念ながらまんぐーすには、この評価が正しいのかどうか判断する知見がありませんが、分かりやすかったのでご紹介します

「055型:Renhai class」に関する「文谷数重」氏の評価
055型で注目すべき点は、外洋性と汎用性の獲得だ。従来艦はそれらに難があった。それが米軍艦同等まで高まった。具体的には実用航続距離の獲得、対潜戦ほかの強化、対地攻撃能力の獲得である
Type 055 destroyer3.jpgここ10年、中国は海軍の外洋化を進めている、2008年以降は外洋展開も目指す近海・遠海海軍とされているが、実際には未だに沿岸・近海レベルである。これはハワイやインド洋まで展開する052系駆逐艦、054系フリゲートも変わらない。実用上の航続距離が短かったのが、055型では大幅に改善された。その意味で055型は、052型と054型とは世代を画する艦艇である

●その第1は大航続距離の実現である。実用航続距離は従来の主力052C/D型の4倍で、055型の実用航続距離は11000kmに達する。052型と054型とは3000km程度しかない
航続距離4倍で何ができるようになるか?空母との随伴が可能となる。空母は潜水艦警戒から戦時には常時20ノットを維持し、状況次第では25ノット以上も発揮する。その際にも055型は燃料切れを起こさず同行護衛できるのだ。つまり、055型の登場は空母機動部隊の完成も意味するのである。

第2は汎用化だ。対潜戦ほかの能力向上も055型での進歩点である。従来の対空・対水上戦への偏向が是正された。その象徴が搭載ヘリコプターの大型化だ。055型は艦載ヘリZ-18を2機搭載することが可能となった。これは13トン級の大型機で、日米のSH/MH-60系よりも大きいある。052系、054系は4トン級Z-9の1機搭載だった
●これにより、まず対潜戦が充実する。ソナブイ搭載数、ディッピング・ソーナー出力、魚雷搭載数は増加した。解析機材の充実から音響の機内解析もおそらく可能だ。ほかにも洋上哨戒やミサイル攻撃探知、救難能力も向上した。同様にレーダ、解析機材、航続距離・滞空時間の能力向上の結果だ。

対艦攻撃力も向上する。500kg以上の本格対艦ミサイルの搭載・攻撃も可能となる。もちろん完璧ではない。対潜戦でも055型とZ-18でも日米豪越の潜水艦に対抗できるかは怪しい。だが、以前に比べれば大進歩である。052系や054系ではいずれの能力もなおざりであった。
Type 055 destroyer4.jpg第3が対地攻撃能力の獲得である。055型は巡航ミサイル攻撃能力を獲得した。トマホーク相当の長剣10Aミサイルが発射可能であり、発射セル数の増加(64セルから112セルに増加)により常時一定数を搭載できるようになったためだ。

米軍に準じた第三世界への介入能力の獲得でもある。アジア・アフリカ諸国やテロ組織に対し必要に応じて巡航ミサイル攻撃が可能となった。柔軟対応の実現でもある。紛争や事件により被害が生じた。それにともなう国民感情の激昂を宥めたい。だが軍隊の損害は避けたい。そのジレンマを解決できるのだ。

以下は「文谷数重」氏の評価
では、この055型は日米の脅威となるのだろうか?全体を考えればさほどでもない。むしろ対応しやすくなった。まず055型は日米軍事力で対処可能である。多少厄介だが従来の攻撃手段で無力化できる。
●そして、その高コストは日米にとって好都合である。コストは従来艦の2倍以上であり、なにより金食い虫の空母機動部隊の整備を促進する。つまり055型は中国海軍の規模を抑制する要素となる。また水上戦力強化に中国が資源をつぎ込むことで、厄介な潜水艦が減るかもしれないのだ。
●その意味では、南昌艦の就役はむしろ歓迎すべきだ。あるいは米国は中国に空母機動部隊のノウハウを教え、あわせて中華航母と航母艦載機の充実を勧めるべきである。
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Aegis Navy.jpg今の時代、大型水上艦艇が高価な上に脆弱であることを、「文谷数重」氏は踏まえて評価をされているようですが、これは先日ご紹介したCSBAの米海軍への提言レポートでも基礎になっていた考え方です。

中国海軍が高価で脆弱な空母戦闘群の「罠にはまってくれれば・・・」とのご指摘も、潜水艦への投資が負の影響を受ければいいのに・・・との指摘も共感できる部分です。なお、この055型は既に6番艦までが進水しており、8番艦までの建造開始が確認されています

護衛艦「いずも」にF-35Bを搭載しようとの自衛隊の方向性を、我々はどのように評価すべきでしょうか???

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