5月25日付米国防省web記事は、2013年から米国防省が検討を進めているペンタゴン及び主要軍司令部の経費25%削減検討、その名も「The delayering initiative:階層削減取り組み」との人員削減計画の状況を説明しています
ヘーゲル前国防長官当時に開始した検討で、2020年までに段階的に自然退職などを活用し、強制的な退職を行わない方向だそうですが、記事の中でも現場レベル責任者は「最終段階になれば、自発的でない退職も起こりうる」と語っており、実施段階では首切りありうべしでしょう
削減対象になる具体的なポストや数や「階層」について言及があまりありませんが、とりあえずご紹介しておきます
25日付米国防省web記事によれば
●米国防省のDavid Tillotson組織管理担当次官補代理は、スタッフ経費を25%削減して約2200億円を浮かせるため、ペンタゴンや軍司令部機能のリストラを行うと語った
●この「The delayering initiative:階層削減取り組み」では、特にサポート業務分野での業務プロセスや慣習を見直すと説明した
●リストラの対象となるのは、国防長官室OSD、統合参謀本部、米軍主要コマンド司令部、地域戦闘コマンド司令部、国防省関連機関等の司令部業務組織である
●国防長官室OSDで言えば、309ポストが対象で、うち243ポストは現に人員が配置されているポストである。国防省関連機関などでは、1260ポストが削減予定である
●Tillotson氏はまた、削減は新たなビジネスモデルに転換するため、数年間に亘り自然減耗・退職等を活用して実行され、現時点では強制的な退職は行わないと説明した
●大部分の影響を受けるスタッフは、別のポストに移るか、早期退職特別手当等を支給されることになる。同氏は「今取り組みを開始することで、複数年をかけて対応する」と語った
でも実際はドライな印象が・・・
●ペンタゴンや主要司令部スタッフの削減は、人件費を削減すると同時に、人的戦力を戦力の近代化や即応体制改善に振り向けるためのものである。
●へーゲル前国防長官時には20%の削減を目指して検討が開始されたが、2015年8月にWork副長官が25%削減を正式に指示したものである
●削減対象ポストを持つ管理職は、対象者と話し合い、将来設計を支援する事が求められると、ワシントン地区のBarbara Westgate担当課長は述べている
●同課長は「管理職にあるものは、削減対象者のスキルや職務経歴を把握し、これまでとは異なる仕事に移る手助けをしっかりやってもらいたいし、我々はその様に働きかける」と語った
●一方で同課長は、プロセスの最終段階には、自主的でない退職を行う可能性があると認めた。削減対象ポストのスタッフが、何も行動をしなければそうせざるを得ない
と
●組織のリストラは数年かけて行うので、対象者はその間に新たなスキルを身につけ、新たな可能性を追求してもらいたいと同課長は語った
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この「delayering:階層削減」との組織論用語とおぼしき言葉は、米国の有力企業(例えば、GE、CBR、Infosysなどなど)で導入されている概念らしく、いかにも米国防省のシビリアン指導層が好みそうな考え方です
「delayering」が公的組織で如何に生かされるのか、そう言った面でも興味深い取り組みです
その行く末は、来年1月の政権交代でどうなるのかよく分かりませんが、経費25%削減は決して簡単に達成できるものではなく、強力なリーダーシップが期待される分野でしょう
2013年12月ヘーゲル長官によるペンタゴン内の削減案発表
この案はどうなったのか? 今回発表は追加策???
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-07