10日付DODBuzzによれば、英国BAE社が製造する無誘導ロケット弾をレーザー誘導弾に転換するキット(APKWS)を米空軍が導入し、F-16とA-10に搭載を開始した模様です。
同キットは既に、米陸軍の攻撃ヘリや海兵隊のハリアー等に搭載が始まっていたようですが、安価で、搭載側に改修の必要が無く、労力も重量も低いことから大人気の模様です
従来この種の精密誘導兵器と言えば、「AGM-114 Hellfire」の独壇場でした。
もちろん現在でも、戦車や装甲車両の攻撃にはヘルファイアが必要ですが、乗用車に乗って逃走するテロリストや通常の建物を攻撃するには、無誘導の「2.75-inch Hydra rocket」をレーザー誘導兵器に転換できるAPKWSで十分なようです
恐らく対ISIL作戦用に配備を急ぐのでしょう。
担当の米空軍准将は、予定よりも早く使用できることになり、初期調達分は米海軍用の余裕分を米空軍に回してもらうことが可能になり、今後の需要増に対しても柔軟な企業対応が期待できると喜びのコメントを出しています
BAE社の宣伝映像
10日付DODBuzz記事によれば
●APKWS(Advanced Precision Kill Weapon System)キットの価格は約3万ドルで、ヘルファイアの約1/3である。また重量も約1/3であり、攻撃機や攻撃ヘリが同じ搭載重量範囲内で、より多数の兵器を搭載可能となる
●米空軍がレーザー誘導のロケット弾を装備するのは初めてとなるが、イラクやアフガンでの使用が想定されている
●同キットが装着される「Hydra rocket」はヘルファイアほど強力ではないが、乗用車や小型ボートなどのソフトターゲットには十分な威力を持っている
Wikipediaの「APKWS」解説によれば
●固定翼から発射された場合の最大射程は11kmで、回転翼の場合は最大5km。キット装着でCEPは50cmに。
●搭載に必要な時間は、(ヘルファイアの)1/4程度に削減できる
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最近、既存の弾薬やミサイル等に安価なキットを装着し、性能を飛躍的に向上させる製品開発が盛んなようです。結構なことです
まぁ・・・このような装備の導入や使用の迅速化を可能にする、国防省や軍内の意志決定と予算措置の早さにも改革が必要かもしれません。日本の事です
BAE社のAPKWS解説webページ
→http://www.baesystems.com/en-us/product/apkws-laser-guided-rocket
既存兵器にキット装着で性能向上
「魚雷キットで飛翔可能に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-21-1
「JDAMキットで射程・全天候性向上」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-07