F-35:カナダ撤退の影響とソフト3F開発状況

F-35 Sun-Set.jpg11日、米国防省高官が英国航空ショーでの記者会見でF-35について語りカナダ首相によるF-35購入見直し発言の影響やソフト「3F」の開発状況について言及した模様です。
カナダに関しては「カナダ自身の選択である」と表現しつつ、一方でF-35製造における今後のカナダの分配分が「消滅」する可能性に言及する等、体の良い「恫喝」活動が行われています。
取りあえずの完成版を目指すソフト「3F」に関しては、開発が順調なことをアピールしています。一方で納期までの時間的余裕が全く無いこともあり、懸命の作業が続いているようです
カナダ撤退示唆に関しKendall次官は
Kendall2.jpg●F-35共同開発国のカナダがF-35購入を止めたとしても、直ちにF-35製造分担計画から除外するとのルールはない。しかし実際にカナダが撤退を決定すれば、関係国間での主要な話題となるだろう
●F-35の製造維持事業の分担はロッキード社が決めているが、「最も効率的である限り」分担が見直されることはない
●カナダが撤退しても、既に契約済みの製造や部品製造契約は引き続き有効だが、今後の契約については効率性の観点から継続的に精査が行われるだろう
●現在カナダの軍需産業は、約830億円の製造契約を結んでいるが、仮にF-35計画全体が現状通り進めば、カナダは更にこの10倍の製造分担を請け負うことになっている
●カナダはF-35購入で第5世代戦闘機を手に出来るが、近い将来F-35価格低下し、第4世代機能力向上型(generation four-plus)と同程度の投資で購入できるようになることも忘れるべきではない
●計画によれば、2018年にはF-35価格は通常型(A型)で1機95億円程度になる予定だ。無論、カナダ購入分が減少すれば、「規模の経済」原則により単価は上がることになる
ソフト「3F」に関しBogdan計画室長は
Bogdan8.jpg●(同じくファーンボロー航空ショウの記者会見で、)2/3以上の飛行試験を終了した時点で、当面の完成版ソフトである「3F」の開発状況について、「2B」や「3I」開発時と比較し、問題点が遙かに少ない
●昨年海兵隊のF-35がIOC宣言時に使用したソフト「2B」や、今年後半に米空軍がIOC宣言時に使用する予定の「3I」開発時の諸問題は、現在の「3F」開発より遙かに本質的で深刻なものだった
●まだ全ての試験を終了したわけではないが、ソフトに不安定な箇所が少なく、出来映えは海兵隊が使用している「2B」の試験時点より「2倍」は優れている
●「3F」は以前のバージョンに比し大きく能力を拡大するが、ポイントは全てのセンサーや処理装置間のデータ交換が遅滞なく進むことであるしかし開発期限までに余裕時間は既に使い果たしており、全力で作業に当たっている
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米国に次期政権が誕生するまで、F-35問題はこのまま「臭いものにはフタ」「負のスパイラルを招く調達機数削減への言及は絶対禁止」原則を貫くのでしょう・・・
しかし、脅威の変化を見据えた「第3の相殺戦略」などを念頭に置いた施策が進めば、近い内に、少なくとも2020年頃には、米国防予算は破綻します。
F-35canada.jpg今よく言われる3本柱の優先は不可能となり、空母や戦略原潜の更新との取捨選択を迫られ、サイバーや宇宙戦やISRはおろそかになり、レーザーや無人機への投資が不透明になるでしょう
いずれにしても、F-35計画を現状のままで進めることは、戦力のアンバランスを招き、抑止力の低下や戦闘力の減殺に繋がる「亡国の道」です
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