米空軍に盲目追随の空自戦闘機命派に衝撃!
空自は、はしごを外された哀れなピエロか!?
19日から米空軍協会主催の航空宇宙&サイバー会議(21日まで)が始まり、米空軍の主要幹部が次々と登壇し、様々な分野について現状や問題点と対処方針について語っています。
取り上げれば切りがありませんが、本日は「chunk education」や「B-21の状況」をつまみに、メインを米空軍戦闘コマンドACC作戦部長による「時代遅れのATOから脱却せよ」発言にしてご紹介します
特に72時間サイクルで回るATO(Air tasking order)での航空作戦計画方式は、相手と地理的に近接する日本の作戦環境を考えれば、航空自衛隊には馴染まないとの意見が当然のように非戦闘機命派から上がっていたようですが、米空軍に「盲目追従」で「戦闘機が絡む事ならむやみに積極的」な戦闘機命派が暴走推進してきたやり方です
2年以上前から訴えているのに・・・
「ATO方式など機能するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-06-1
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-05-05
「20年前を目指す航空自衛隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-03
「時代遅れのATOから脱却せよ」発言
●米空軍戦闘コマンドACC作戦部長のThomas Deale少将は、将来の航空作戦センターでの活動は宇宙やサイバー空間を含む複数ドメインを扱う方向に変革すると語り、古めかしい時代遅れのATO方式ではなく、「on demand targeting」が可能なように変化進歩しなければならないと訴えた
●そして、攻撃航空機は大まかな作戦エリアを念頭に離陸し、柔軟に敵の動きに対応し、任務の最終段階で作戦センターから目標情報を提供されるようになるだろうと説明した
●湾岸戦争時の「Operation Desert Storm」では、作戦センターは72時間サイクルでATOを発出していたが、この「古めかしい一方放送のような」方式は、現在目指している「on demand」方式とは相容れないと語り、
●新しい方式において「鍵となる要素」は、宇宙やサイバー空間からの目標照準に関するインプットであり、「全ドメイン情報を融合させて任務成功に導く」体制だと同少将は訴えた
日本周辺国からの「脅威の変化」を素直に直視すれば、米空軍が湾岸戦争時(Operation Desert Storm)に使用した20数年前の作戦計画方式が役に立たないことは明々白々だったのに、なぁ・・んにも考えないで「戦闘機中心の作戦」を、つまり20数年前を追い続けた結果、訪れるべくして訪れた米空軍の脅威への対応に今になって翻弄される事になるわけです
繰り返し申し上げているように、日本は「脅威の変化」に直面する最前線国家です。米国より早く「脅威の変化」に気付き、自ら判断して米国を引っ張るくらいの強い意志が必要なのに、20数年前の作戦計画方式を盲目追従するから、自衛隊の前線部隊に言わせれば「ちゃぶ台返し」に会うわけです。
本当に戦闘機命派の罪は重いと思いますが、現状として戦闘機命派が支配している以上、戦闘機命派が変化に着手になければ組織は変化できないのです。いい加減にして欲しい・・・
まず、防衛計画の大綱別表に定められた、戦闘機飛行隊数と作戦機機数のデタラメな算出背景を白日の下にさらし、その修正から入ってもらいたいです
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以下はおまけで
「chunk education」と「B-21の状況」に関する発言
B-21開発の状況
●米空軍の緊急能力造成室RCOのRandall Warren室長は、B-21の機種選定が決着して「B-21」との名称が決定した今年2月以降、同機の開発は「順調:up and running」に進んでいると述べた
●RCOを中心に4年間も開発リスクを見据えた達成可能な要求値を煮詰めてきた結果、またNorthrop Grumman社と結んだ納期を守りコストを下げるインセンティブを与える契約により、調達計画通りに予算範囲内でB-21計画が進むことを楽観視しているとも語った
●また同室長は、最初の21機は1機約560億円以下の価格を達成できると予言した
●今後も同事業をRCOが担当し、空軍のMateriel Commandには移行しないだろうと述べ、理由を米空軍首脳と議会関係者の監視と情報提供が円滑に可能な点と、B-21の非公開技術情報を保護するためと説明した
●米空軍内部と退役軍人に募ったB-21爆撃機の愛称は、太平洋戦争時のドゥーリットル爆撃(Doolittle Raider)にちなみ、「Raider」に決定した
「chunk education」を推進
●米空軍大学のSteven L. Kwast校長は、サイバー戦やパイロット不足まで、様々な米空軍の課題に迅速に対処するため、「just in time」の教育版とも言える「chunk:固まりの、厚切りの、相当な量」教育戦略を導入しつつあると語った
●同校長は、この教育戦略は従来の学位取得を目指すような教育方式から、特定の問題に対処する焦点を絞った特製のまとまった教育を行う方式へのシフトに力点を置く事だと説明した
●大量生産時代の教育方式から脱却し、特にサイバー分野などの変化が激しい分野の教育を時代に適合させ、遠方の相手にも迅速に小分けにして提供しようとするものである
●この教育の目指すところは、「10ドルの課題を10セントで解決し、敵には100ドルの負担をさせる」ことである。
●単位認証や学校から離れた軍人がこの方式に追随出来るかどうかの問題は、今後の課題であるが・・・
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太平洋戦争時のドゥーリットル爆撃(Doolittle Raider)は、画期的なアイディア、陸海軍の協力、日本に対する奇襲効果等々の点から、米空軍が今でも教科書に載せて語り継いでいる「サクセスストーリー」です。
陸軍の爆撃機を海軍艦艇から発進させるという統合協力による画期的作戦で、航空機の航続距離から米軍機による攻撃はないだろうと安心していた日本を恐怖のどん底にたたき込み、日本爆撃成功後にバラバラになった攻撃編隊搭乗員達のサバイバル英雄話までくっついたストーリーです。そこから名前を取られると、日本人としては少し複雑ですか・・・
「chunk education」はよく分かりませんが、柔軟に迅速に教育カリキュラムを組み替える姿勢は重要で、トヨタの生産技術からから学んだ「just in time」を尊重していることもあり、応援したいと思います。
2年以上前から訴えているのに・・・
「ATO方式など機能するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-06-1
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-05-05
「20年前を目指す航空自衛隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-03
米空軍トップもリアルタイム重視
「3つの重視事項」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13
「迅速にピクチャー共有を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-21
将来の制空アセットに関する米空軍検討
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02