1日付米空軍web記事によれば、フィリピン空軍のConrado Parra, Jr副司令官(少将)率いる8名の代表団がハワイの米太平洋空軍司令部を訪問し、8月29日~31日の3日間に渡り、第5回目となる「U.S.-Philippines Airman-to-Airman (A2A) talks」を行い、両国空軍の今後の協力強化等について集中討議したようです。
迎えた米空軍側は、太平洋軍副司令官Mark Dillon少将がリーダーの24名(太平洋空軍、同海兵隊、ハワイ州軍)で協議に臨み、今後3~5年間を見通した取り組みの優先事項や関係強化策について話し合われた模様です
同記事は、両国軍の関係強化が様々な形で発展していると伝えていますが、今年4月にカーター国防長官が高らかに打ち出した、今最も期待が高まっている米軍航空アセットのフィリピン展開「Air Contingent」の今後に関し、何ら言及がありません。
4月にA-10やHH-60Hヘリが、6月にEA-18G電子戦攻撃機が展開して以来、かけ声倒れになりかけているクラーク比空軍基地への米航空戦力派遣「Air Contingent」は、今後どうなるのでしょうか???
1日付米空軍web記事によれば
●フィリピン空軍のParra副司令官は「この協議は、2つの空軍のギャップを埋める諸活動を決定することに有効である」「我々は最近の安全保障環境に関する一番の懸念事項を議論するためにここにいる」と協議の意義を語った
●近年、両軍は協力関係を深めており、フィリピンが米太平洋軍の演習Balikatanや米空軍演習Pacific Angelのホスト国となることを支援したり、環太平洋空軍参謀長会議やエアパワーシンポジウム、更に太平洋空輸訓練をフィリピンが支援したりしている
●今年4月には、カーター長官がクラーク比空軍基地に「Air Contingent」設立を発表し、両国が共同で航空パトロールを行い、両国による海洋パトロールを補完する事となった。
●また最近、両国は「Enhanced Defense Cooperation Agreement:国防協力強化合意」に署名し、「Air Contingent」のように米国によるアジア-インド-太平洋への関与を示し、人道支援のための緊急展開やフィリピン軍の能力強化に取り組むことを確認している
●太平洋軍のDillon副司令官は、「両国空軍は多くの素晴らしい訓練を行ってきた。この勢いを本協議で維持し、確固とした将来ロードマップを基に両国軍関係を強化し厚くしていくことが目的だ」と語った
7日付米空軍協会web記事より
比との新合意EDCAでBasa比空軍基地増強へ
●9月7日、James空軍長官は定例会見で、8月の比訪問で合意したEDCAで、米軍航空戦力ローテーション派遣の新たな候補地である「Basa Air Base」の「building up」をフィリピン側が行う事になったと明らかにした
●6月に展開した米海軍EA-18Gは、15日間の滞在でフィリピンを離れており、それ以来ローテーション派遣は「空白」となっている
//////////////////////////////////////////////////
米国の大統領選挙が迫り、対ISIL作戦やトルコのゴタゴタがあり、英国のEU離脱騒ぎがある中、オバマ大統領は安全保障面で、「核兵器の先制不使用宣言」や「武装無人機の使用や売買に関する国際協定」による「レガシー作り」にご執心の模様です
南シナ海や東シナ海に関しては、ハリス太平洋軍司令官にエスカレート禁止前提の「丸投げ」状態に見えます。そしてハリス司令官は、グアムに大型爆撃機3機種を同時展開させるのみで、フィリピンへの「Air Contingent」は開店休業状態です。
中国が、尖閣に対する施政権確保で日米安保条約第5条の空洞化を狙い、漁船の大量派遣を始め・・・暗いですねぇ・・・
ところで、安倍総理がウラジオでプーチンに会い、11月にペルーのAPECでも会談を約束し、12月15日に地元山口県でプーチンを待ち受けるそうです。
米国が良い顔をしないロシアとの対話ですが、米大統領選挙と政権交代の「政治的空白期間」をついて、何か打ち出すのでしょうか? チョット気になります
米軍航空アセットによる対中国作戦
「グアムに大型爆撃機3機種」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-12
「EA-18G電子戦攻撃機が展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-18
「国防長官が交代派遣発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-16
オバマの「核兵器の先制不使用宣言」検討
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-07
報道:攻撃用無人機の輸出及び使用制限条約に関する米国の動き
→http://www.defensenews.com/articles/experts-question-new-armed-drone-export-policy