12日付英国紙「The Observer」に投稿したNATOのStoltenberg事務総長は、大統領選挙中からNATOの価値について疑問を呈していたトランプ氏に意見する形で、NATOの負担が米国に偏りすぎていることを認めつつも、欧州加盟国がここ数年改善に向けた努力を続けていると訴えています
アジアでも同盟国や友好国への負担シフトを選挙期間中訴えていたトランプ氏ですが、ロシアの脅威におののく欧州も必死さは同じで、アジア太平洋の日本や韓国を差し置いてでも、中国と裏で手を結んでも、米国を欧州から逃がさないための行動に出る可能性があります。
人種の近さからすれば欧州NATO諸国に分がアリ、経済発展の可能性からすればアジア市場の発展とパイ獲得の魅力が上回るでしょうが、米国が中国と「握れば」経済的メリットの享受は可能と考える可能性はゼロではないでしょう
NATO事務総長は投稿の中で
●我々は我々の世代における、最大の安全保障上の課題に直面している。欧州と米国との間のパートナーシップの価値に疑問を挟んでいる時間など無い
●(トランプ氏が選挙期間中に批判していたように、)現在、米国がNATO軍事費の約7割を負担しており、米国がより応分な負担のシェアリングを要求するのはもっともなことである
●一方で、この負担分担の不均衡を我々は既に認識し、対処を始めている。2016年度の欧州全体の国防費は3%の伸びを記録し、来年は3年連続での国防費の伸びを皆が目にする事になろう
●ロシアや中東や北アフリカでの課題を目の前に抱え、米国にとっても、欧州にとっても独自の道を歩むことはオプションとしてあり得ない
カーター国防長官は本件に関し
●14日の朝、カーター国防長官は、新政権の政策について何ら保障できないがと前置きしつつ、NATO諸国と分かち合ってきた価値観や原則について、米国は関与を続けるよう要望すると述べた
●そして、911同時多発テロ以降、NATOは米国と共にアフガニスタンで行動を開始し、その後一貫して行動を共にしてきたと述べ、「物事を同じ視点で見る国家の仲間のサンプルであった」と表現した
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15日付読売新聞は4面各記事で、10月中旬にトランプ氏の安全保障問題の側近であるフリン元国防情報長官(元陸軍中将)が来日し、管官房長官に「安全保障政策は従来通りしっかりやる。トランプ氏は極めてクレバーで現実的だ」と述べ、安全保障政策に大転換はないと強調し、「私が責任を持つ」とも語ったと報じています
一方で同じ来日時にフリン氏と会談した民主党の長島昭久議員は、「日本は、中国や北朝鮮が脅威だと言うが、ほとんど防衛費が変わらないではないか。これはおかしい」とフリン氏に言われたと読売に語っています。
一部には、旦那が元A-10操縦者で、上院女性議員の中で2番目に若いAyotte女史が国防長官候補だとの報道があるようですが、国防省が懇願している無駄基地の整理統合に反対する「選挙区への利益誘導型議員」の側面もアリ、頻繁に国防省の人事案に反対姿勢を見せていた「ヒステリック」な側面もアリ、上院軍事委員会メンバーながらちょっと気になります。
トランプ関連の記事
「マキアベリと三浦瑠麗の視点で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-10-1
「トランプの世界地図」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-10
国防長官候補Ayotte女史
「無駄な基地整理再編に反対」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-16-1
「旦那が元A-10操縦者でA-10全廃にも反対」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-07