今後の激震を予期させるスクープ報道です・・・
20日付「Foreign Policy」電子版が、米国防省の政策担当次官代理が作成した部下に対するMemo文書を入手し、トランプ氏の国防省政権移行チーム長から聞き取った、「トランプ氏の国防優先事項」が含まれていると紹介しています
そしてその「トランプ氏の国防優先事項:president-elect’s defense priorities」の中に、これまで国防省関係者が米国に対する一番の脅威だと言い続けていた「ロシア」が含まれていないと指摘しています。
これに対して政権移行チーム側は、「メディアがこのリストを取り上げ、トランプ政権の優先事項の全てを表現していると見なすのは誤解を招く誤りだ」と反論していますが、国防省側は「政権移行チーム側に聞いてくれ」との姿勢で、疑問を打ち消すには至っていません
なにせトランプ氏は、ロシアと親密な関係にあると言われているエクソンモービル社のTillerson社長を国務長官に付けようとしており、対ロシア外交の大転換が噂されている中での話でアリ、皆が疑心暗鬼になっている状況です
もちろんMattis次期国防長官が完全にロシアを無視できるはずもなく、中国や北朝鮮やイランとの言葉も4つの「国防優先事項」リストには含まれていないのですが、話題になりそうな話ですのでご紹介しておきます
Memoの現物拡大写真
→https://foreignpolicymag.files.wordpress.com/2016/12/screen-shot-2016-12-19-at-1-44-09-pm.png
20日付「Foreign Policy」電子版によれば
(同Memo文書の中身の概要)
●同Memo文書は12月1日の日付で、Brian McKeon政策担当次官代理が部下との情報共有のために作成した文書であり、トランプ側政権移行チーム長であるMira Ricardel女史が11月28日の国防省側との申し送り会議の中で示した、「トランプ氏の国防優先事項4つ」を周知するためのもの
●トランプ側チームは当時は16人で、今後約20名となり、概要ブリーフィングを受けつつ担当分野を細分化して20名で分担する方向で進める
●既に数回のブリーフィングを終了しており、国防省の組織や政策、対ISILや北朝鮮や中国についても一応の説明は行ったが、追加の説明も準備中である
●Ricardel女史は、国防省の各組織や機関の主要課題や関連予算状況の説明を希望しており、更に予算等が許せば取り組みたいと考えている希望事項も聞かせて欲しいと要望している
●また引き継ぎ会議を小規模で行う事をトランプ側は希望しており、参加者については規模を限定して対応する
4つの「トランプ氏の国防優先事項」
●Developing a strategy to defeat/destroy ISIS
●Build a strong defense(予算管理法の縛り除去、戦力の規模・即応性・威力の改善)
●Developing a comprehensive cyber strategy
●Find greater efficiencies(Work副長官による偉大な仕事を更に追求して積み上げる。国防省内から新しいアイディアを募る)
「Foreign Policy」電子版の指摘
●例えばダンフォード統合参謀本部議長は、昨年7月の上院軍事委員会でロシアを上回る脅威はないとの認識を示し、「米国の生存に関わる脅威を呈している一番の国はロシアで、彼らの行動を見れば明らかである」と明言し、それに続く脅威として、脅威度の高い順番に中国、北朝鮮、ISISを上げて証言している
●またJames Clapper国家情報長官(DNI)も昨年2月、ISISはロシアほど米国の国益を脅かす存在ではないとの認識を示し、「ISISは米国に決定的なダメージを与えることは出来ないが、ロシアは可能だ」と語っている
●また国防省の調達担当高官は、米国防予算の重点は対ロシアにあると発言しているし、米軍と欧州NATO諸国との演習は増加し、欧州とロシアとの国境沿いにはNATO諸国の軍が増強配備されている
●更に有事に備え、戦車等の重装備の欧州ロシア正面への事前集積を開始してる
●この様な状況の中で、4つの優先事項にロシアは現れないし、国防省側が既に行ったとMemoが表現しているブルーフィン対象国に、ISISと北朝鮮と中国は含まれているが、ロシアが含まれていない
●また、引き継ぎ会議関係者によれば、トランプ側は国防省の対ロシア政策担当者等とも会議を行っているが、あまり突っ込んだやりとりはなく、ほとんど場合「どんな状況ですか?」確認する程度である
●もちろん専門家でも「Mattis次期国防長官から直接話を聞かないとよく分からないし、優先事項を絞るにはもう少し時間が必要だろう」と考える者が多いだろうし、国防省内部からロシアの脅威軽視は大きな反発を受けるだろう
●しかしTillerson国務長官が誕生すれば、これまでの対ロシア姿勢がトーンダウンする可能性はある
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Foreign PolicyはMEMOの中身をあまり紹介せず、多少誇張して報じているような気がしますし、MEMOの中身も明らかに物事の一面しか表現していないと思いますが、気にはなります。
時間がたてば明らかになる事でしょうが、写真で見る折り目の付いた生々しいMemoには、確かにISISや北朝鮮や中国との言葉はあっても「ロシア」との言葉が全くなく、「?感」ありありです
だいたい、この様なMemoをリークするのは、トランプ側を牽制し、「ロシア脅威」を訴え、「Tillerson国務長官の誕生を阻止したい」からでしょうから、今後も一波乱も二波乱もありそうな予感です
ただ「Work副長官による偉大な仕事を更に追求して積み上げる」とのMEMOの言葉には期待が持てそうです。なかなか目の付け所が良いじゃないですか・・・
ロシアがNo1脅威との指摘
「ダンフォード議長が上院で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-10
「ロビンソン女性大将も」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-23-1