「エンジンの問題ではない」を強調
4日、米空軍F-35導入準備室長のScott Pleus准将がMilitary.comに対し、9月23日に飛行準備中のF-35Aの尾部から発生した火災の原因について、初期調査の段階ながら、尾部のパイプに残っていた燃料に引火したもので、エンジンとは全く関係が無い火災だったと語りました
同火災は、航空自衛隊用のF-35受領式典がテキサスで開催された同日に発生した「縁起の悪い」事故で、アイダホ州のMountain Home空軍基地の格納庫前で発進準備していたF-35Aの尾部から発生したもので、事故から3ヶ月間以上、原因に関し何の発表も説明も無いまま年を越していたものです
同准将は、2014年に発生し全機を数ヶ月間飛行停止にした「エンジン火災」を「setback:大きな痛手」と表現しつつ、その事故と対比し、昨年9月の火災がエンジンとは全く関係の無いものだと強調しています。
ただ昨年9月の火災に関しては、「尾部のパイプに残っていた油」に関する疑問が未解決で、本格的な調査チームが立ち上がったばかりの段階であり、なぜ「setback」でないのか、飛行試験や訓練を継続していて良いのか等々、3ヶ月以上たっても不明なまま放置されています
6日付Defense-Tech記事によれば
●4日Pleus准将は、「初期調査からエンジン火災ではないことが判明し、調査関係者は事案を尾部パイプ火災と呼んでいる」と語った
●更に「尾部パイプ火災は、エンジンとは関係の無い機体尾部にたまった燃料に引火したもので、エンジンの問題ではない。余分な燃料が機体後部に集まり、離陸準備中に火がついたものだ」と説明した
●そして米空軍F-35導入準備室長は、「エンジンから発生したものならエンジン火災で大きな問題だが、本件はエンジンとは全く関係ないし、冷却パイプとも関係が無い」と強調した
●また「2014年に発生したエンジン火災は、エンジン事態の設計に問題が見つかった点で、F-35開発計画上の大きな痛手だった」、「しかし事前訓練の積み重ねが操縦者の命を守り、根本原因を特定して対処策を検討し、全機に対する措置を完了した。その後は何の問題も発生していない」と付け加えた
●同准将はまた、本件とは別の昨年9月16日に判明した燃料タンク内の冷却パイプの絶縁不良問題にも言及し、全部で57機に問題が発見されたが、「基本的に製造過程における人的ミスであり、設計の問題ではなかった」と再度説明した
●そして同事案について、「想定もしなかった問題に対し、全力を挙げて対応し、短期間の間に修理を完了した点である意味成功事例ともいえる」とも語り、11月上旬に飛行を再開した対処の迅速性を強調した
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エンジン火災ではないから大騒ぎしないで・・・と懸命に説明されても、発進準備中に機体火災が発生しただけで十分問題なんですけど・・・
それから、原因がいかにあろうとも、事故発生から4ヶ月近く原因について音沙汰無く、飛行を継続させていることにこそ問題があるように思うんですけど・・・
トランプ氏のF-35に対する種々の発言を気にしすぎ、議会の非難や諸外国の懸念を避けたいがため、悩みすぎて常識的な感覚を失いつつあるのではないか・・・と気になります
トランプ氏のF-35発言など
「代替にFA-18改良型を検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-23-1
「F-35予算削減ツイート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-13
「新政権の国防予算はF-35が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08
「F-35巡り国防省で内紛」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09
F-35事故関連の記事
「試験や訓練優先で安全を犠牲」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-22-1
「10月27日の海兵隊機火災」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-09
「9月23日の空軍機火災」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-24
2014年6月のF-35エンジン火災(当時は2ヶ月間飛行停止)
「火災メカニズム」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-04
「当面の対処と設計変更」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-29
「問題は軽易ではない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08