米とカナダが本土防衛巡航ミサイル対処に協力

Robinson Ottawa.jpg2月16日、お懐かしやロビンソン北米コマンド司令官がカナダのオタワで講演し北極海経由の巡航ミサイルなどマルチドメインな脅威に対処するため、カナダと2国間検討グループを設置し、20年ぶりに早期警戒システムや対処兵器のアップグレード検討を開始していると語りました
かっこいい女性大将であるロビンソン司令官は、前任務が太平洋空軍司令官であり、赤いスポーツカーを颯爽と操る日本の皆さんにはお馴染みの「男っぽい」女性で、つい最近までは米空軍参謀総長の有力候補だった人物です。そして女性として初めて、地域戦闘コマンド司令官に就任した話題の人物です
まだ初期的な検討段階のようですが、「史上初の2国共同による要求性能検討」や、具体的にロシア・北朝鮮・中国・イランの国名を上げて脅威対象国と言及している辺りに、巡航ミサイルの拡散に対する危機感迫る様子が伺えます。
24日付Defense-Tech記事によれば
N Warning System.jpg●現在米国とカナダは、1950年代に最初に設置(当時の名称はDEW:Distant Early Warning)された、アラスカからNewfoundlandに至る範囲をカバーする、47個の多様な覆域のレーダー拠点からなる「North Warning System」を運用している
●2015年に軍事情報メディア「DefenseOne」は、米国防省が低空進入ミサイルの迎撃ネットワークを公にせず検討していると報じ、レーダー施設を増設し、戦闘機や地対空ミサイルや艦対空ミサイルを誘導し、低高度高速目標の撃退を計画していると紹介した
●またその報道には、飛行船型のセンサーJLENSを活用し、地上レーダーが発見しにくい低高度目標探知に活用する構想も描かれていた
●2月16日、ロビンソン大将は「Conference of Defence Associations Institute in Ottawa」の聴衆に対し、具体的脅威について「金正恩は予測不可能で気性が激しい」、「ロシアは依然としてgame changerであり、ロシアの巡航ミサイルは我々がイメージするよりも遠方から到達可能で、彼らは北米大陸に接近することなく、我々を危機におとしいれる
●また「中国やイランも、常に我々の防御の弱点を探り、有形無形の防御態勢を崩壊させようとしている」と語った
カナダと2国間検討グループを
N Warning System2.jpg●これら脅威に対処するため、同司令官は、米国とカナダが「アラスカからカナダ北部に構築されている監視レーダーネットワーク「North Warning System」を更新するため、カナダと2国間検討グループを設置した」と語った
●そして、「史上初めて両国は、北方から米本土北部に接近する全ドメインの脅威を監視するするため、共同で要求性能検討(binational analysis of alternatives)を行う事に合意した」と付け加えた
●ロビンソン司令官は更に、「空や海中から発射される脅威に関する必要情報を入手して警報を発するため、遠方を継続的に監視できる体制を構築し、巡航ミサイルを早期に発見、追尾、識別し、必要なら撃破する能力を向上させる必要がある」と語った
●そして両国が共同で取り組む要求性能検討の結果により、「北米防空司令部が次世代の複数ドメインに渡る警戒監視能力を保有するに適当な技術投資方向を、両国は判断することになる」とロビンソン大将は語った
●更に同司令官は、「装備品に関する検討だけでなく、新たな戦略や作戦コンセプト、また検討に基づく新たな2国間演習の計画や策定にも取り組んでいる」と説明した
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日本も参考にすべき、又は議論に建設的な貢献が出来る可能性がある分野ですので、とりあえずご紹介しておきます。
Ottawa DFS.jpgただ以前ご紹介(http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-03-1)したように、JLENSの事故を受け同計画への再挑戦は期待薄で、これに変わりうる常続的な見通し線外レーダー(OTH:over-the-horizon)を求めている状況のようです。
何か画期的な技術革新があり、可能性があるから検討が本格化したのか、脅威に追い立てられて何か検討せざるを得なくなったのか不明ですが、ロビンソン大将のご健闘を祈念したいと思います!
NORAD関連
「米国首都の防空に航空局FAAレーダーと連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.
jp/2017-02-03-1
「カナダがBMD姿勢見直し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-02
JLENSの概要と試験
「2個目配置」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-20
「1個目設置」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-24
「空自OBが対領空侵犯措置の効果に疑問を」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-18-1

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