日本でも絶対考えなきゃ!
13日、ワシントンDCで開催された軍事メディア主催の軍事技術会議&展示会で、米海兵隊の施設防衛を担当する大佐が講演し、小型ドローンの脅威は急速に高まっているが、これに対処する装備や技術を見つけられていないと語りました
前職で海兵隊内の無人機運用部隊の指揮官だったChe Bolden大佐は、無人機の特性や急速な発達を身をもって経験した人物だけに、事態が切実であることが伺えます
一方で、米国内での無人機使用に関する規則強化については消極的なようで、むしろ規則で縛ることで、小型ドローンの有効性や新たな使用法の開拓が妨げれれることを懸念している点が興味深いです。
米空軍ACC司令官が訴えている、航空機の安全運航や基地施設の防衛に関する危機感は薄いようです。これは基地を基盤に高価なアセットを運用する空軍と、基地から外に展開して活動する海兵隊の違いでしょう
14日付Defense-Tech記事によれば
●市販の小型ドローンの能力が急速に向上し、世界中で容易に入手できるようになる中、ISISなどの敵対勢力も、これを米軍部隊への偵察や攻撃に使用し始めているが、米海兵隊はこの新たな脅威に対処する防御兵器探しに依然苦労している
●米海兵隊施設コマンドの長期戦略部長補佐のBolden大佐は、小型ドローン対処は非常に複雑な課題であると「Defense One」主催の「Tech Summit」で語った
●同大佐は「市販の小型ドローン技術の急速な拡散により、部隊が直面する脅威は日々悪化している」、「我々は対処コンセプトの開発に取り組んでいるが、対処兵器や技術を発見できていない」と現状を語った
●海兵隊は既に、ライフルのような形状をした小型無人機対処兵器「DroneDefender」の実地テストを行っているが、一つのドローンの操作電波を遮断して無効化したり、操作を乗っ取ったりするこの装備を、本格的に導入する決定には至っていない
●海兵隊は、他にも幾つかのドローン対処技術を慎重に見極めている。その一環で今年4月、ドローン対策企業である「Sensofusion」と契約し、電波を使用して小型ドローンから基地や拠点を守る「防御策柵:defensive perimeter」を張る構想の「AIRFENCE」技術開発を行っている
●点を守ること、エリアを守ること、そして敵攻撃を緩和することはそれぞれ異なり、異なった対処や装備やコンセプトが必要だ。
●中でも、多様な施設が分散して存在する基地を小型ドローンから守ることは難しい。常続的に施設周辺の空や地上を監視し続けることは容易ではないのだ。だからいろんな手法や技術を検討しているのだ
●米国内での無人機運用や無人機からの防御に関して、国内規則強化には海兵隊は積極的ではない。たとえ規制強化で無人機からの脅威問題が緩和されたとしてもである
●同大佐は「無人機の悪い側面に着目して規制強化を進めれば進めるほど、小型ドローンのような新たな技術の良い側面に、自ら扉を閉ざすことにもなる」、「私の立場からすれば、無人や自律化システムを活用する機会や利点を追及しており、規制はそのような機会を奪うものであってはいけない」との考えを述べた
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最後の「国内規制強化」に関する部分は、同大佐の個人的な意見か、海兵隊としての意見か不明ですが、攻撃と防御は表裏一体ですので、小型ドローンを使用した新たな戦術や作戦を海兵隊として検討しているのかもしれません。
いずれにしても、小型ドローン、市販ドローンの脅威は無視できません。
派手な攻撃でなくても、滑走路や航空機駐機エリアに、ボルトや釘をバラまくだけで、航空機の運用を一時的にでも妨害することができますし、ACC司令官が懸念していたように、戦闘機エンジンの空気取り込み口に突っ込ませるだけで、エンジンを故障させることが可能でしょう
自衛隊の中期計画に、そのような配慮はあるでしょうか? 期待薄でしょうねぇ・・・。航空基地の脆弱性を語れば、戦闘機への投資に疑問を生む可能性がありますから・・・。
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