世界の空軍の代表格である米空軍が壊れていく・・・
米空軍士官学校で再び犯罪関連スキャンダル
3日付Military.comは米空軍士官学校の地元紙「The Gazette」を引用し、同士官学校に2003年から設置されている「性犯罪防止&対処室」が、性的犯罪被害者のケアに関し士官学校長である女性中将の信頼を失ったとして「1ヶ月以上に亘り捜査対象」となっており、新入生受け入れの重要時期だが「機能を停止」していると報じています
正式には「Sexual Assault Prevention and Response Office」と呼ばれる「性犯罪防止&対処室」は、同士官学校で性犯罪が大きなスキャンダルとなった2003年に設置され、士官候補生の性犯罪防止する広範な対策や教育を担当し、併せて士官候補生である性犯罪被害者のカウンセリングやサポートを行う部署で、4名のフルタイム職員を含む6名で構成される「室」です
仮にも国軍の士官を養成する士官学校に、「性犯罪防止」やら、防止教育やら、被害者カウンセリングやらを担当する6名モノ専従職員が配置されている事が信じられない事かも知れませんが、国防省調査によれば、空軍士官学校は3軍の士官学校の中で性犯罪認知件数が継続してトップで、昨年6月までの1年間で32件、陸軍が26件、海軍が28件となっています
また同調査によれば、空軍士官学校の女性士官の10%以上が「不愉快な接触」を訴えているなど、不名誉な状態が続いています
この性的犯罪や性的襲撃(Sexual Assault)は少なからず米軍全体で大きな問題となっていますが、特に米空軍内部で深刻で、米空軍から統合参謀本部議長が生まれなかったり、パイロット支配が組織を停滞させていると国防省や議会に不信感が募り、パイロット以外の大将や主要コマンド司令官、更には空軍参謀総長にも非パイロットを求める声が高まっていると軍事メディアが報じることも増えました
また米空軍は米空軍士官学校のトップに、4年前から女性のMichelle Johnson中将(輸送機パイロット)を配置し、特に性的犯罪防止に力を入れてきたところですが、同中将が8月の退役する直前の段階になって、この様な性的犯罪対策の根幹を揺るがす事案が発覚する始末です
空軍士官学校「性犯罪防止&対処室」の業務停止
●米空軍士官学校のAllen Herritage報道官(中佐)は、非公開の「問題」により、士官学校長が同室の捜査を命じ、現在も1ヶ月以上におよぶ捜査が継続中だが、同室の4名が職務停止になっている
●士官学校長のJohnson校長や関係者は、同士官学校を性的犯罪防止や対処における米大学の見本とすべくその取り組みをアピールしてきたところであるが、そのアピールの根幹が揺らいでいる
●同報道官は「数十名から聞き取りを行い、その内容を精査して事実関係を調査中でアリ、またプライバシーに関わることも多く、捜査の状況についてコメントできない」とメールで回答している
●また同報道官は「複数の同室勤務者が既に業務を離れている」と認めた
●匿名の関係者は、「性犯罪防止&対処室」は兼ねてから士官学校職員から不満の的となっており、空軍監察官室に対して調査を求める訴えが出されたり、議会調査室による外部査察を求める要望が出されたりしていたと語った
●また同関係者は、Johnson中将が士官学校主要幹部に対し、「性犯罪防止&対処室」は性犯罪被害者のケアに関する信頼を失ったと語っていたと明らかにし、彼自身も「同室は不安定でコントロールされていなかった」と表現した。
●同士官学校は7月6日に新たな入学者を迎え、新入生トレーニングを開始する教育上非常な重要なタイミングに当たっているが、その教育の柱の一つである性犯罪防止と対処教育は第1週に時間が割り当てられる主要科目である
●同報道官は、士官学校には職務停止となった職員を代替する人材がいると説明し、同犯罪防止と対処は多様な組織が協力して実施するもので、組織的に対応するので問題ないとしている
●Johnson校長は8月に退役することとなっており、問題職員の最終処分や扱いについては次の士官学校トップとなるJay Silveria中将に委ねられることになろう
●問題の職員は性的犯罪を扱う資格を剥奪され、無期限停職(indefinite leave)になっている
//////////////////////////////////////////////////////////
問題の「性犯罪防止&対処室」の4名が何をやったのか全く不明ですが、普通なら現校長が退役するまでに処分し、一応片を付けてから次の校長に申し送ると思いますが、それだけ根が深い深刻な問題だと言う事でしょう。
同校では数年前に、性的犯罪や麻薬使用問題に対処するために士官候補生の中に数十人の「内通者:informant」を指定し、米空軍特別捜査局OSIがそれら内通者からの情報を元に犯罪を摘発する体制を構築していたことが明るみになり、関連トラブルから内通者の一人が卒業1ヶ月前に退校処分となり、当該元士官候補生がマスコミに出て不当な処分に抗議する事案があったところです
「空軍士官学校の内通者が反旗」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-10-1
米空軍の状況をそのまま世界の空軍や日本に当てはめるのも「論理の飛躍」かも知れませんが、戦闘機や爆撃機が中心アセットで、その操縦者が空軍を支配してきた経緯がある中、脅威の変化を受け戦闘機や有人機の重要性が変化し、操縦者による組織支配が無理を生み、組織秩序が混乱&崩壊に向かう「兆し」を見せているというのがまんぐーすの仮説です。
米軍と性犯罪(Sexual Assault)問題
「性犯罪は依然高水準」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06-1
「暴力削減にNGO導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-05
「国防長官が対策会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19
「指揮官を集め対策会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-04
「海軍トップも苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-20
「女性5人に一人が被害」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-10
「空軍内で既に今年600件」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19-1
「米軍内レイプ問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19
問題や負の話題が多い空軍士官学校
「空軍士官学校の内通者が反旗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-10-1
「オバマが議会批判」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-03
「ライス補佐官が政治的スピーチ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-19
米空軍トップが衝撃の新年メッセージ
戦闘機操縦者支配への反発が顕在化
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04