史上初、イスラエル軍基地に米軍常設部隊
わずか数十名ながら防空ミサイルと共に防空の一翼を
18日、米軍とイスラエル軍が、イスラエル南部のイスラエル空軍基地に、米陸軍の機種不明な防空システム部隊を数十名(A few dozens)編成し、恒久的に運用を開始する記念式典を開催しました。
イスラエル側代表のイスラエル空軍防空コマンド司令官Zvika Haimovich准将は式典で、「米軍部隊のプレゼンスは、訓練や演習のためではない。イスラエル防衛能力強化のための、イスラエルと米軍の共同努力の一環である」とその位置づけを語っています
イスラエルには約10年前から、同じイスラエル南部のネゲブ砂漠地域に、米軍の俗にいう「Xバンドレーダー(AN/TPY-2)」部隊が展開していますが、全くイスラエル軍施設とは独立して存在しており、今回のようにイスラエル軍基地の中に星条旗を掲げて運用するのは初めてだそうです
18日付Defense-News記事によれば
●Haimovich司令官は「同盟国アメリカの数十名の兵士が、この基地に恒久的に駐留する。彼らは米国軍のタスクフォースの一部」であり、ロケット弾やミサイル脅威を探知し防衛するイスラエルの能力を強化してくれると語った
●また同准将は、「彼らがこの地に存在するのは、訓練や演習のためではない。イスラエル防衛能力強化のための、イスラエルと米軍の共同努力の一環である」と明言した
●米側代表で式典に参加した欧州米陸軍の副司令官であるJohn Gronski少将は、(展開部隊が所在する)「Site 883 Life Support Areaは、米国とイスラエルの固い絆を更に強固にするものである」と述べ、
●更に「両国は長年にわたり作戦を計画し、ともに演習や訓練を行ってきたが、この基地の設置で、極めて重要な両国のやり取りが毎日行われることになる」と意義を語った
●イスラエルのHaimovich司令官は、両軍が同一基地で共生するのも初めてだが、米軍の迎撃ミサイル(active interceptors)が恒久的に展開するのも初めてだと述べ、この準備のために両国は約2年にわたり協議を続けてきたと説明した
●一方で同司令官は、米軍が新たに展開してプレゼンスを見せるが、イスラエルに対する脅威に対し、イスラエル軍が独自に対処する能力が損なわれるわけではないと強調した
●この式典に先立ちイスラエル国防軍は、ロケット弾等の迎撃ミサイルシステム「Iron Dome」の機動展開部隊を新たに編成し、北部国境から南部国境までを柔軟にカバーする体制を整えたところである。
●なお、このイスラエル製「Iron Dome」システムを、米陸軍は短距離~中距離の防空システム候補として、他の候補システムとして米陸軍の評価を受けている
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この話を聞いて一番に思ったのは、イスラエルの核兵器施設があると噂されている南部砂漠のディモナです。このディモナの施設が防御対象だとすれば、展開部隊はPAC-3でしょうか? 過去記事のシリアSAM撃墜事案の影響でしょうか?
また、既に配備されている「Xバンドレーダー(AN/TPY-2)」との組み合わせで考えれば、イスラエル全体をカバー可能なTHAADミサイルでしょうか?
いずれにしても、機動展開用の「Iron Dome」部隊を新編成したりするあたりからも、ロケット弾から弾道ミサイルに至るまで、急激に拡散する新たな脅威に喫緊の対応を迫られているということでしょう。
これは「Iron Dome」を試験している、米軍にも言えることです。
イスラエル防空の話題
「なぜイスラエルArrowがシリアSAMを迎撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-21
「世界初:6種類の迎撃ミサイルでBMD演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-07-1
「米がサウジにTHAAD提供?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-01