20日付Defense-Newsが、ロシアとフィリピン、およびロシアとインドの軍事関係に関する記事を2つ掲載し、トランプ政権がゴタゴタし、中東やアフガン問題に手を取られ、北朝鮮問題に悩まされる中、ロシアがアジアに手を伸ばしている様子を紹介しています
必ずしもロシアにとって順調な話ばかりではなく、相手国の現場から反対されている構図も紹介されていますが、長期視点で、隙あらば食い込んでやろうとする絶え間なき取り組みは、大いに学ぶべき点ありと考えます
2つの記事は、ロシア国防相がフィリピンへの手土産に「ライフル5000丁」を持ち込んだお話と、インドとロシアが進めている第5世代機開発に関し、インド空軍が性能不足や整備性の悪さを理由に露との共同開発中断を要求しているとのお話です
露がフィリピン大統領にライフル5000丁
●20日フィリピンのスービック港に到着したロシア海軍艦艇3隻と、21日に遅れて到着する2隻と合わせた艦隊司令官であるMikhailovロシア海軍少将は、来週開催されるASEAN国防相会議に出席するロシア国防相の来比に合わせた訪問だと語った
●フィリピン大統領にドゥテルテ氏が就任して以来、ロシア艦隊の訪問は今回が3回目となり、フィリピン海軍の発表によれば、21日到着の2隻がドゥテルテ大統領宛の贈り物である「軍事装備品」を輸送していると明らかにしている
●ドゥテルテ大統領はロシア艦隊の到着に先立ち、贈り物である「軍事装備品」は「ライフル5000丁」だと語っていた。なお国防相会議には米国、中国、ロシア国防相も参加する
●Mikhailov艦隊司令官は、「この艦隊訪問が、露比両国間の友好関係強化に貢献するよう全力を尽くし、当地域の安全保障に貢献する」と語った
インド空軍が露との戦闘機開発中断を要求
●1兆円規模のロシアとインドの第5世代機開発プロジェクトFGFA(fifth generation fighter aircraft)が、新たな厳しいハードルに直面している。インド空軍が要求を満たさない計画機に反対の姿勢を示したのだ
●インド空軍のリーダーたちが最近インド国防省に対し、FGFAが要求性能を満たさず、米国製のF-35などに及ばないと、強い懸念を表明したとインド空軍関係者が明らかにした
●インド空軍幹部は、FGFAはステルス性やレーダー反射面積の面で要求性能を満たさず、ロシア提示のプロトタイプに大幅な構造的変更を行わなう必要があると懸念している
●またインド空軍は、機体の稼働率確保と整備容易性を狙い、エンジンに「modular engine concept」の導入を要求し、エンジン整備をインド側で実施する形を求めているが、ロシア側はエンジン整備をすべてロシア企業が行うこととしている
●ロシア寄りの専門家は、FGFAのプロトタイプと言われたSU-57(PAK FA:T-50)は「AL-41F1エンジン」を搭載しているが、FGFA量産型は「Product 30エンジン」は燃費が3割向上し、エンジンの可動部分も少なくなり、ライフサイクルで3割もコストが削減できると良さを説明しているが・・
●一方でインド側も、米国製戦闘機を運用していないので、ロシア機と米国機の長期にわたる運用経費比較がほとんどできないと言われている
●なおFGFAは、インドが108機購入する前提で開始されており、インド側は段階的に開発経費として約6000億円を拠出する計画になっている
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ロシアはイランや中国に戦闘機や地対空ミサイルを売り込むだけでなく、NATO加盟国トルコへの長射程防空ミサイルを売り込みに最近成功し、その勢いで米国との関係が微妙な雰囲気にある中国周辺国家へのアプローチを加速させています。
しかし・・・フィリピン大統領へのライフル5000丁は何でしょうか? 麻薬撲滅のため、米国の人権派が嫌う「闇の仕置き」をもっとやれ・・・との激励でしょうか・・・
本当に、かゆいところに手が届く国ですねぇ・・・ロシアは・・・
ロシア製品と世界
「ロシア製ロケットエンジンでなく」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-07
「印検査院がロシア製戦闘機を酷評」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-11-1
「トルコが露製長距離SAM購入へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-14