北朝鮮は米軍爆撃機を撃墜できるか

Ri Yong Ho.jpg9月23日、米空軍B-1B爆撃機がF-15C戦闘機を護衛に従え、非武装地帯のラインを超えて北朝鮮沿岸を21世紀で最も北上する飛行を行い、プンゲリ核実験場(Punggye-ri)まであと90nm(160㎞)まで迫ったと米太平洋軍が発表しました
ちなみにこの距離は、北朝鮮が一方的に主張している沿岸から50㎞の軍事境界線よりも沖合の飛行だったことを示しています。
これに対し25日、北朝鮮の外相がNYで「たとえ米軍爆撃機が北朝鮮の領空外を飛行していても、北朝鮮は撃墜する権利を有していると記者団に語り、物議をかもしたところです
このやり取りを受け9月28日付Defense-Newsが、北朝鮮が現在保有する迎撃戦闘機と地対空ミサイルで、米軍長距離爆撃機を撃墜できるか吟味しています。
北朝鮮上空ではなく、北朝鮮の沖合を飛行するとのボンヤリした前提で話が進んでいますが、北朝鮮の通常戦力の実態を垣間見る機会ですので、ご紹介します
9月28日付Defense-News記事によれば
Mig-29 NK.jpg北朝鮮の防空ネットワークは、国連の禁輸制裁を受け、数は多いがいずれも時代遅れの代物で構成されている
ソ連時代のMig-23とMig-29をそれぞれ1個飛行隊で約30機保有しているが、1970年代後半から1980年代初期のもので、北朝鮮に提供されてから全く能力向上等を行っていないものと考えられている
●両タイプとも通常は、首都ピョンヤンの周辺に配備されているが、韓国と緊張が高まった際などは、南北の境界線付近に展開することもあった
●CNNは米国防省高官の話として、今週、少数のMig戦闘機が追加の燃料タンクを装着し、空対空ミサイルを搭載して北朝鮮の東海岸沿いの基地に展開したと報じており、米軍爆撃機の要撃が目的と考えられている
Mig-29 NK2.jpg●しかし、米軍爆撃機が戦闘機に援護され、AWASCなど空中レーダーに支援されていたとすれば、ソ連式の地上誘導に頼る北朝鮮戦闘機は沿岸を離れた洋上で不利な立場に置かれるだろう
●戦闘機による対処が難しいなら、地対空ミサイルによる邀撃に北朝鮮は頼ることになるだろう。この場合、北朝鮮が保有する最も長射程の地対空ミサイルはS-200(SA-5 Gammon)がその任に就くだろう
●このS-200は、1960年代の兵器で、高い高度をあまり激しい動きをせずに飛行する航空機を対象として開発されたSAMであり、射程距離はそのバージョンによって150~250マイルと言われている
S-200.jpg北朝鮮には1987年か88年に提供されたと見られており、24~40個発射機が存在する模様だが、通常はピョンヤンの南と東の部隊に配備されている
●S-200は、1980年代にリビアによって、また今年シリアで発射されたが、いずれも目標に命中していない
●またS-200は、電子戦下では有効性を失うであろうし、大きなミサイルは動きの激しい航空機を追随することが困難だろうと見られている
●さらに最近北朝鮮は、KN-06という国産で射程100nmの地対空ミサイルを披露しており、金正恩が量産を指示したとも報じられているが、中国産HQ-9やロシア製S-300と外観が類似している以外、細部は不明である
●いずれにしても北朝鮮の防空能力には疑問符がついている
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S-200 2.jpg昨今の弾道ミサイル乱れ撃ちのため、その方面に資金を集中しているでしょうから、通常兵器は押して知るべしの状態でしょうねぇ・・・
ゲリラ戦を展開する特殊部隊なんかは、優遇されていそうですけど・・・。無人機とかも・・・。
米軍もあらゆるセンサーを総動員して、北朝鮮の現状把握に全力を挙げているでしょうし、日本や韓国も協力しているでしょうから、移動式の弾道ミサイル発射期は別として、かなりの状況は把握できていると思います。たぶん
米軍事メディアが見た北朝鮮騒ぎ
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-14

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