B-52エンジン換装を巡る大集会

12月28日から1月3日の間は、定期更新は致しません。疲れました・・・休みます・・
B-52-UK.jpg12日、長年検討されながら様々なゴタゴタと厳しい予算状況から先送りになってきたB-52爆撃機のエンジン換装に関し、米空軍と関連軍需産業が一堂に会する「industry day」がB-52の母基地で開催され、米空軍側から今後の換装構想と要求方向が示されたようです
1952年に初飛行した大ベテランB-52爆撃機ですが、改良や改修を重ねて現在でも76機が現役として飛行しており、来年早々に示される爆撃機全体の将来構想でも、B-21との新型ステルス爆撃機開発が進む中でも、2050年代までの運用が想定されている模様です
B-52-UK2.jpg兵器システム面では、胴体内の爆弾庫に新型ロータリーランチャー搭載換装を行い、今年11月にはアフガニスタンで出撃機1機として史上最大の19発の精密誘導爆弾を投下する新記録を打ち立てたところであり、また予算審議で紛糾している新型核搭載可能巡航ミサイルLRSO(Long Range Standoff Weapon)の母機として想定されており、まだまだ活躍が期待されています
しかし現在1機に8基搭載されているTF33エンジンは老朽化が進み、部品の確保が難しくなっており、2030年代早々には維持不能に陥ると予測されており、また今年1月4日には、飛行中に同エンジンが内部破壊し、エンジンごと翼から脱落する事故が発生し、改めてエンジン問題がクローズアップされることとなってしまいました
21日付米空軍協会web記事は
B-52 engine4.jpg●あくまで米空軍は、将来のエンジン換装を約束するものではないが、可能な情報提供をお願いしたいとのスタンスで構想を説明した
●エンジンに米空軍が要求する事項は、燃費の20%以上向上、電子制御によるエンジンコントロール、B-52が現在装備する飛行システムとの融合が可能なこと、機体構造や良く構造への影響を最小限にすることなどである
●また核攻撃の際に生じる電磁波等への耐性を備えることや、現在のTF33エンジンと重量が同程度であること、迅速なエンジン始動、新たな操縦席におけるスロットル制御も要求する方向である
●米空軍は翼の交換や再設計につながるようなエンジン換装を望まないが、新たなエンジン取り付け部を装着する必要性は理解している。しかし機体寿命を縮めるような改修は受け入れない考えである
22日付Defense-News記事によれば
B-52 engine.jpg●今後米空軍は、現有機体システムと新エンジンの融合を担当する「integrator」企業と、新エンジン担当企業の選定を検討し、可能ならば2022年には新エンジンを搭載した試験機2機を導入して機体との適合を確認したいと考えている
その後、2026年から34年にかけ、残りの74機に新エンジン搭載改修を行う方向で進めたいと米空軍は考えている。しかし予算面での確約は得られておらず、米空軍の調達担当中将は、コストを抑えるあらゆる可能性を探っており、エンジンの「リース」もオプションとして検討していると語っている
●「integrator」企業と新エンジン製造担当企業の選定には複数の案があり、「integrator」を選定して同企業にエンジン選定を任せる方式と、「integrator」とエンジン選定を同時並行で行う方式、更にその折衷案の方式が検討されている
B-52製造企業であるボーイングは当然「integrator」を狙うであろう。エンジンは「Pratt & Whitney」、「Rolls Royce」と「GE Aviation」が参戦すると見られている
Pratt & WhitneyはTF34エンジンか新型エンジンで、 Rolls RoyceはE-11やC-37で使用されているF130エンジンを考えているようである
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B-52H2.jpgエンジン換装の見積もり経費は約2.4兆円だそうですが、エンジン換装により現エンジンを維持した場合より燃料費や維持整備を約1.2兆円削減できると主張したいます
単なる爆撃だけでなく、長時間空中待機しながらピンポイントの要請に応じての精密誘導兵器を投下や、音によってのイスラム過激派威嚇や、弾薬庫航空機(arsenal plane)の役割も期待されているB-52です。
なぜか愛着のわくB-52です・・・
B-52関連の記事
「エンジン内部破損で落下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-08
「弾薬庫航空機に向け改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「同構想とB-52」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-12
「もっと能力向上を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-11-1
「海軍と会議後アジア展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-07
「まだまだ能力向上に投資」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-16-1

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