今頃NATOがロシアのINF条約破り非難

2月にNYT紙が報じ、米軍幹部も非難しているロシアの行為を、今頃になってNATOが非難
SSC-X-8 2.jpg15日、NATOが声明を発表し、ロシアが射程500kmから5500kmの地上発射弾道ミサイルの廃棄と保有禁止を約束するINF全廃条約に違反していると非難しました。
このロシアの巡航ミサイルは、オバマ政権時代から開発段階にあると指摘され、「SSC-X-8:9M729」と呼ばれていた最大射程3400km程度の巡航ミサイルですが、今年に入って配備段階に入ったと米情報機関で確認され、兵器として完成したと米国政府関係筋がNYT紙に語ったのが今年のバレンタインデーに報道されていました
この事実を受け、4月末にハリス太平洋軍司令官は「米国が宗教戒律のように守っているINF全廃条約など破棄せよ」と厳しい言葉で非難し、最近では米国も、配備はまだ決断しないが、同種兵器を開発することを明らかにしています
Selva senate.jpg一方でSelva統合参謀副議長が7月に発言しているように、全てのオプションを検討するも、オプションの基本的考え方に関し、「同条約の規約を露に遵守させられないようであれば、他の全ての合意事項の拘束力も弱体化させかねない」との懸念から、「米国は同条約の規定範囲内の手段で、ロシアを同条約の枠内に引き戻し、核戦力の戦略的バランスを維持しなければならない」との考え方がベースにはあります
軍拡競争に挑む体力が無いということでしょうが、欧州諸国主体のNATOが非難せずに誰が非難するのか・・・と思いますが、今まで公式に非難しなかったのは「大人の事情」があるのでしょうか?
18日付米空軍協会web記事によれば
SSC-X-8.jpg●15日付のNATO声明は、ロシアの条約破りを非難する米国と歩調を合わせ、ロシアにINF全廃条約を順守するよう要求し、「米国は同条約の義務を厳正に遂行している」と表現している
●そして「NATO諸国は深刻な懸念材料となるロシアのミサイルシステムを確認した。NATOとしてロシアに対し、我々の懸念に透明性のある実質的な対応をとることを要求し、米国と検証に関する技術的な対話を米国と行うよう促す」としている
●更に声明は「この条約は欧州と大西洋を囲む同盟にとって重要であり、関連兵器をすべて破棄している」、「INF全廃条約の完全履行こそが必要不可欠で、我々はこの軍備管理の記念碑的条約保全に完全にコミットしていく」と結んでいる。
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PatriotMS.jpgこの面でも米国は露にやりたい放題されてますねぇ・・・
この重要なタイミングで、ポーランドと長年にわたり協議してきたPAC-3ミサイル防衛システム導入について、ポーランド側が想定していた2倍以上の値札を最後に米国は突き付けた様です
米国ファーストがこんなところでこのタイミングで、いろんなところで顔を出しています・・・大丈夫か???
INF条約の経緯とこれまでを解説
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
ロシアのINF条約破り
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「ロシア巡航ミサイルへの防御なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06
「露がINF全廃条約に違反」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27
「米陸軍にA2ADミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14
「INF条約25周年に条約破棄を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-10

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