14日、米空軍副参謀総長Seve Wilson大将が上院軍事委員会で証言し、米空軍パイロット養成の最初の航空機である初等練習機T-6が、低酸素症のような症状を訴える操縦者続出で3週間も飛行停止状態になっていると明らかにしました
米空軍は約2000名(うち1300名は戦闘機操縦者)のパイロット不足に悩まされており、経歴管理や給与・ボーナスの見直しなどの対策を検討推進していますが、高い給料と楽な勤務の民間操縦者への流失に歯止めがかかっていません
そんな対策の一つとして米空軍は、年間のパイロット養成数を年間約1100名から1400名に増やす体制構築を目指し、仮想的約部隊(アグレッサー)の民間委託を進めたり、幕僚勤務などデスクワーク職から操縦者を外して教官パイロットを確保しようとしていますが、パイロット養成の入り口となる機体が飛行停止で「泣きっ面に蜂」状態です
15日付米空軍協会web記事によれば
●14日Wilson大将は議会で、3週間余り飛行停止状態になっているT-6初等練習機が、いつ飛行を再開できるかわからないと証言し、1日当たり700回の飛行訓練機会を失っていると苦悩を語った
●一方で、米空軍Materiel Commandと教育訓練コマンド幹部は、連日ミーティングを行ってこの苦難にいかに対処するか話し合っているとも語った
●米空軍は、航空機搭載の酸素生成装置(On-Board Oxygen Generation system) 問題に取り組んでいる米海軍とも連絡を取り、またNASAチームとも協力し、原因究明のためあらゆる方面で可能な限りの努力を行っていると同大将は証言した
●原因について副参謀総長は、「航空機搭載機材のメンテナンスにも関連があるだろうし、パイロットが装着する装備にも関係するだろうし、訓練内容にも関連するかもしれない」と言及した
●「T-6は初級練習機としてパイロット養成に欠くことができない。我々は過去の経験を振り返り、この問題に対処するため、装備面、教育面、訓練面で何をすべきか検討し、速やかな飛行再開を目指したい」と語った
14日付米空軍協会web記事によれば
●14日、下院軍事委員会で証言した米空軍作戦部長Chris Nowland中将は、「我々は民間航空会社が(操縦者獲得のために)何をするかコントロールできないし、どれだけ給料を支払うかを変えることはできない。我々は操縦者を最大限の努力で養成し、同時に彼らの生活の質を改善することに取り組むのみである」と語った
●そして操縦者養成と生活の質改善のため、60もの施策を決定して進めようとしていると証言し、固まった段階で(予算面での手当てのため)議会に支援要請に再びお願いに来ると説明した
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米空軍が予算と時間と人をかけて養成したパイロットを、金と良い待遇をちらつかせた民間航空会社が引き抜いてゆく「仁義なき戦い」が、激しさを増しているようです
しかし・・・パイロットを襲う「低酸素症の様な症状」の問題は、F-22、F-35でも問題になり、F-35は原因究明できていな中で関連装置の交換を決定し、飛行再開しています。
米海軍の練習機T-45Cでも同様の問題が発生し、2017年に数か月に渡る飛行停止が発生しています
どうしてなんでしょうねぇ・・・これだけ重なると・・・関係者が全分野で必死で原因究明にあたって(full court press)いるのに・・・
時系列記録:F-35低酸素症(疑い)事案
「原因不明のまま飛行再開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-31-1
「F-22事案の教訓を生かせ!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-11
「原因不明でも関連装置を交換へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-19
F-22事案を振り返る
「最終的に飛行再開・原因特定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-25
「不沈F-35と低酸素F-22」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-09
「F-22再度飛行停止と再開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-24
「F-22操縦者に謎の症状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-31