36年ぶりイスラエル戦闘機が撃墜される

イラン無人機がイスラエル侵入で情勢緊迫
2011年以来のイスラエル軍レバノン大規模空爆に発展
ロシア外務省が沈静化を呼びかけ
Iran UAV.jpg10日付Defense-News記事によれば、10日土曜日早朝、シリア領内から遠隔操縦された「イラン無人機」がイスラエル領内に侵入し、これを契機にイスラエル軍機がシリア領内への攻撃を行い、イスラエル空軍F-16I戦闘爆撃機がシリア軍地対空ミサイルに撃墜されました
F-16Iが撃墜されたことを受け、イスラエル軍は2011年以来の規模という「広範な規模の攻撃:broad attack」をシリア領内の目標に対して実施し、合計12個のシリア軍およびイラン軍の装備や施設への攻撃を行ったと発表しました
「イラン無人機」が発進したとされるシリア内の空域を統制しているロシアは、「全ての関係サイドに自制を求める」との声明を10日中に出し、事態の拡大防止を図る動きを見せているようです
とりあえずイスラエル側発表の事実関係をご紹介します
10日付Defense-News記事によれば
10日早朝、シリア領内のロシアが空域統制を行っているエリアから離陸した「イラン無人機」が、イスラエル領内に侵入し、イスラエル空軍のAH-64Dアパッチ攻撃ヘリにより追尾され、最終的に撃墜された
●なおこのイラン無人機」は、シリア領内に展開しているイラン軍の指揮統制装置から遠隔操縦されているものであった
F-16I down.jpg●このイラン無人機の領空侵犯を受け、イスラエル軍はダマスカス近郊に展開していたイラン軍の無人機指揮統制装置に対する攻撃を行うため、F-16I戦闘爆撃機を出撃させた
●このF-16I編隊に対し、シリア軍の地対空ミサイルSA-17やSA-5が発射され、被弾を受けたF-16は何とかイスラエル領内まで戻ったところでパイロット2名が緊急脱出した。2名はケガで手当てを受けている。被弾したF-16はイスラエル北部の集団農場近くに墜落した
●この被撃墜事案を受け、イスラエル軍は第2波のシリア領内攻撃を企て、イスラエル軍報道官が「広範な規模の攻撃:broad attack」と表現した合計12個のシリア軍およびイラン軍の装備や施設への攻撃を行った
第2波のイスラエル軍攻撃機は全機無事に帰還し、同軍報道官は「3つのシリア軍防空部隊と、4つのイラン軍シリア領内拠点を含む、計12個の目標を攻撃した」と10日に発表した
●更に同報道官は、「イランの侵略者がシリア領内に潜んでいる。イランは軍事使用のために無人機を持ち込み、イスラエル領空を犯した。イスラエル軍は全てのシナリオに準備を整えており、イランとシリアに敵対行為をやめるよう通告する」との声明を発表した
●「イラン無人機」が発進したとされるシリア内の空域を統制しているロシアの外務省は、「全ての関係サイドに自制を求め、事態の悪化を招くような行動を避けるように」との声明を出した
●そして「シリア及び周辺国の領土や主権は、無条件で尊重される必要がある」とも声明で述べた
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F-16-Israel.jpg一触即発の中東情勢を象徴するような事象ですが、1982年以来初めてイスラエル空軍機が撃墜されたとなれば、頭に血が上ったイスラエル軍がどんな行動に出るか予測できませんし、「イラン無人機」とイスラエルが主張するオマケもついていますので、今後の成り行きが懸念されます
36年ぶりの被撃墜です・・・世界最先端の電子戦能力を備えているはずのイスラエル空軍ですが、シリアの地対空ミサイルに撃墜されたとは何があったのでしょうか?
電子妨害が効かなかったのか、偶然命中したのか、目視で狙ったのか・・・それとも最新のECCM能力を備えた装備がシリアに持ち込まれていたのか・・・
今後の分析に注目いたしましょう
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