12日、CSISのTodd Harrison氏らのグループが、公開情報のみを基礎にした宇宙アセットへの脅威をまとめた報告書「Space Threat Assessment 2018」を発表しました。
もちろんこの分野では、一般に公開や報道されていない部分で、多くの兵器の研究や開発計画が行われているのでしょうが、非公開情報にアクセスできない一般研究者や政策研究者にも可能な範囲で現状を伝えることは非常に意味のあることです
また公開情報をきちんと把握しておくことで、それ以外の情報への感度が高まるというものです。
ですからブログ「東京の郊外より・・・」も、軍事情報への感性を磨くという意味で、公開情報をチマチマとお伝えし、継続と蓄積の力で明日の安全保障を担う皆様のお力になれれば・・・とやっておるわけです。
本題からはそれましたが、中国、ロシア、北朝鮮とイラン、そしてその他の国にも少し触れているらしい報告書の概要を、13日付米空軍協会web記事でご紹介。
13日付米空軍協会web記事によれば
●中国について
—急激に、そして着実に対衛星兵器や軌道上からの攻撃能力の開発や試験を行っている国であり、更にジャミング、サイバー攻撃やその他の能力で、多様な米国宇宙システムに脅威を与えている。
●ロシアについて
—ソ連の崩壊以降、宇宙システムの状態が悪化し続けていたが、ロシアはその立て直しに取り組み始めて、近代化に着手している。
—「ほとんどすべてのタイプの対宇宙兵器を、開発もしくは復活させてる」と報告書は記している。
●北朝鮮とイラン
—北朝鮮とイランは、ロシアや中国には後れを取っているが、「他国からの技術移転や自身の弾道ミサイル開発の恩恵を被って、急速に進歩を続けている」
—この2国の脅威は、主に「nonkinetic」なサイバーや電子妨害によるもので、ミサイルなどの「kinetic」兵器の脅威ではない。そして「nonkinetic」な兵器は安価で、技術的に高度なものを必要としないことから、宇宙アセットを保有しない国にも手が届くようになってきている
●その他
—「nonkinetic」な兵器の抑止は困難である。なぜならその探知が困難で、だれが行ったかを特定することが難しいからだ
—宇宙アセットを妨害や無効化することがあまりにも容易なので、それらが使用可能であることを当然だと見なすことはとてもできない。米国の宇宙アセットやそれを支える地上システムへの脅威に対応するため、直ちに政策担当者は行動を始めるべきである
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CSBAで予算分析の専門家だと思っていたら、Todd Harrison氏はCSISへ移籍され宇宙も担当されているようです。
現物をご覧になりたければ以下まで
→https://www.csis.org/analysis/space-threat-assessment-2018
宇宙での戦いに備え
「日本は不参加:米軍宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1
「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「国際宇宙演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02