さもなければ、1763機から約590機調達減か
3月29日、米空軍参謀総長David Goldfein大将が記者団との朝食会で、F-35の維持経費が高額であることに改めて強い懸念を示し、現在のF-35維持経費を1/3程度のF-16維持費レベルに 低下させなければならないと語りました
2月には戦闘機族のボスである戦闘コマンド司令官が、老朽化が進む米空軍戦闘機の平均年齢を下げるため、本当は毎年60機ペースでF-35を購入したいが、今多数購入すると今後の改修経費と維持費を支えられないと「本音」を吐露していたところです
また3月には国防省F-35計画室長が、維持整備体制の問題から、世界に存在する280機のF-35のうち、飛行可能なのは5割に過ぎないと暴露して世界に衝撃を与え、その数日後米空軍幹部も、米空軍保有機体の8割近くを占めるソフト2B搭載機体の稼働率は、4割台にとどまっていると議会で証言したF-35の惨状です。
そんな中での参謀総長の発言ですが、特に注目したいのは他軍種や外国購入国も同じ思いだとのニュアンスの言及をしている点です
3月29日付Military.com記事によれば
●Goldfein米空軍参謀総長は、まず最初の目標は現在われわれがF-16の維持費か同レベルまで、F-35の維持費を削減することだと明確に述べ、「F-35の維持費を大変懸念している」と朝食会で語った
●そして更に「我々は第4世代機レベルにまで維持費が削減されるまで努力を止めない」とも語り、併せて海軍と海兵隊やF-35を購入した諸外国もその追及に協力する計画だと述べ、目標はF-16と同価格までの削減だと再度表現した
●参謀総長はこの削減努力に関し、マティス国防長官が国防副長官と調達兵站担当次官に軍需産業出身者であるPatrick Shanahan氏とEllen Lord女史を選んだことを高く評価し、軍需産業をコスト面から導ける経験を持った人物の登用に期待を示した
●この背景には、Bloomberg Newsが同週に、F-35の維持費を削減できなければ、空軍の計画するF-35の調達機数1763機から約590機を削減する必要があるとの具体的数字を始めて報道して話題を集めたことがある
●Goldfein米空軍参謀総長の発言に対し、Lockheed Martin社は声明を発表し、「わが社はF-35維持費の削減取り組みに投資を行っており、引き続き国防省F-35計画室との連携を密にし、運用維持経費の縮減に努めていく」と述べている
●また同社F-35担当副社長が3月5日に、「F-35は数年後には、他の戦闘機を即応態勢と生産面で凌ぎ、数々の記録を打ち立てると確信している」とも自信を示してたところ
///////////////////////////////////////////////////////
最近立て続けに、国防省幹部や米空軍幹部からF-35関連の発言が相次いでいます。
つい最近までは、海外での売れ行きに配慮し、開発状況に中立的な発言が多かったのですが、2019年度予算編成の過程で耐えられないことが明確になってきたのでしょう・・・。
そのうち海外購入国への配慮とか、相互運用性の観点とか、そんなことはすっ飛んでしまって、海外にコストを押し付けてでも、米国用のコスト削減に走ることになるのでしょう・・・恐ろしや・・・
最近のF-35関連記事
「2Bソフト機は稼働率4割台」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-1
「世界中のF-35稼働率は5割」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-3
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17