26日、マティス国防長官は上院軍事委員会の公聴会で、ロシア製武器を購入した米国の同盟国等に制裁を課す法律CAATSAの施行に例外を認めるよう訴えました。
具体的には、ロシア製で「F-35キラー」との異名を持つ高性能地対空ミサイルS-400を、トルコとインドが輸入しようとしていることに対し、制裁を控えるよう要望しているようです
このCAATSA(Countering America’s Adversaries Through Sanctions Act )は、ウクライナの反体制分離派を支援し、シリア政権に加担するロシアに対する制裁措置として議会が提案したもので、トランプ大統領も効果を疑問視して署名を渋っていましたが、昨年8月サインしているようです
インドはともかく、NATOに防空を実質依存しながら、恩を仇で返す様にロシア製S-400購入に突き進むトルコには制裁がふさわしいのでは・・・と人間の未熟なまんぐーすは思うのですが、マティス長官は「そんな短気になってはならぬ」と仰せの様です
27日付Military.com記事によれば
●マティス長官は上院軍事委員会で、長期的な米国の国益を考えて判断できるように、CAATSA法に「国家安全保障の視点からの例外規定」を設けるよう訴えました
●そして、世界の中にはロシア製兵器から西側兵器に切り替えようと取り組んでいる国があるが、そのような国も当面の間は現有のロシア製兵器の維持も行う必要があり、ロシア製品を必要としてるのだ・・・と説明した
●「インドやベトナム、その他の国に対し、厳格にCAATSA法を適用することは、長期的に見て米国自身を罰するようなものだ」と国防長官は訴えた
●そして同長官はインドネシアを例に挙げ、「インドネシアは、航空機やその他のシステムも米国製に切り替えようとしているが、旧式の(ロシア製)兵器を維持するため、なにがしら輸入する必要があるのだ」と説明した
●4月上旬、プーチン大統領がトルコを訪問し、総額約3300億円のS-400売却交渉を加速させた。NATO諸国はNATO防空システムとの連接が認められないS-400購入に反対し続けている。
●また中国がS-400の購入を決定したことを受けたインドも、総額約5500億円のS-400購入交渉が最終段階にある。
●もちろんマティス長官も、ロシアによるS-400の売り込みを「多くの懸念を生じさせる」と警戒しているが。
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マティス長官の証言は26日ですが、同じ上院軍事委員会で、次期太平洋軍司令官であるPhil Davidson海軍大将も24日に同様の発言をしています。
「国家安全保障の視点からの例外規定:national security exceptions」を誰が判断するのかも気になりますが、ボルトン・ポンペイオ体制で、マティス長官のご意向がどこまで反映されるのかも今後気になるところです
シリア攻撃に関しては、マティス長官の慎重姿勢が大統領に理解され、攻撃対象がかなり絞り込まれた様ですが・・
トルコの防空ミサイル購入問題
「連接しないとの言い訳?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-30
「トルコ大統領が言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-14
「ロシア製S-400購入の動き」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-23
「SAM選定で露に最接近」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-12
「中国製決定を破棄」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-16
「トルコ大統領訪中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-30-2
「NATOと連接しない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-20