利益誘導政治屋の横やりで難航も・・・
その本質的ねらいを見極めたい
6日Wilson米空軍長官が、2020年代半ばから後半に退役予定のJSTARS(E-8C)の後継装備として、同機が配備されているジョージア州Robins空軍基地の地上に、世界中のセンサー情報を融合して状況把握を可能にする次世代先進戦闘管理システム(ABMS:next-generation Advanced Battle Management System)を設置する方向だと発表しました
このJSTARS後継検討は迷走しています。2016年には約7500億円規模で17機の後継機を選定する計画を打ち出し、大型機ではなく汎用のビジネスジェットを使用する構想まで示唆していましたが、2018年2月の予算計画会見で、「将来の脅威環境では航空機タイプは脆弱だ」との理由で地上ABMSを突然打ち出したのです
空軍のこの迷走の背景には、予算の強制削減状況下、F-35やB-21爆撃機の予算確保のため他分野を犠牲にしているような臭いがプンプンしますが、この迷走に地元への利益誘導しか考えていない(と邪推する)同州選出議員らが、「地上ABMSではJSTARSの穴埋めはできない」との能力ギャップ論で米空軍の動きに反対する姿勢を示し、本来の論点を離れた(とまんぐーすが邪推懸念する)「泥仕合」になっています
米空軍が地上ABMSにしてもJSTARS所在時に勤務していた人員の移動は行わない(Robins空軍基地勤務兵士数は減らない→地元に落ちるお金に変化なし)と説明し、政治屋議員たちも軟化する姿勢を示し、「能力ギャップが生じないよう慎重に進めろ!」的な方向に向かいつつあるようですが、犬も食わない論争は脇に置き、ABMSについて断片的にご紹介します
7日付military.com記事によれば
●空軍長官が、E-8C JSTARS(Joint Surveillance Target Attack Radar System aircraft)の母基地であるロビンス空軍基地に、ABMSを設置すると発表した
●「変化し厳しくなる脅威環境での生存性を考慮し、先進の戦場管理及び監視システムに迅速に円滑に移行する必要がある」と空軍長官は声明で説明している
●Goldfein空軍参謀総長はABMSについて、「数百のセンサー情報を融合し、世界中の戦闘コマンド司令官にとっての全ドメイン戦闘状況認識機能を提供するネットワークであり、変化する脅威に対応する強靭性と生存性を備えた体制への重要なステップである」と説明している
●同システムは空中及び宇宙ドメインでの作戦を支え、情報融合と提供支援等を担うもので、MQ-9など無人偵察機からの情報融合も行う。
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E-8C(JSTARS)は、「be capable of developing, detecting, locating and tracking moving targets on the ground」な航空機です。
情報収集機ですので細部の運用は不明ですが、地上車両の動きを上空から探知し、把握する能力を基本機能とし、他の情報との融合で戦場管理に重宝されているようです
政治屋は嫌いです。日本でも多数生息が確認されているようですが・・・
3年前のJSTARS後継機記事
「候補機種3機種に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-11
「2023年は新装備が集中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-14
「ACC司令官がJSTARS後継切望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-03
「女性中将が語る開発装備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-21