盛りすぎて中止の過去の悪夢に悩まされつつ
18日、ヘリコプター製造大手のBell社が、米陸軍の中核輸送人員輸送&救命救助ヘリであるUH-60の後継を意識した、FVL(Future Vertical Lift)計画の技術実証機の一つであるV-280 Valorの機動性デモ試験を行います。
オスプレイのような「ティルローター型」であるV-280は、垂直離着陸性能とヘリの約2倍の移動速度を備えているのが特徴で、6か月前に既に初飛行を終え、最大性能発揮に向けた試験と開発が進められているところです
一方で、もう一つの技術実証機に2014年に指定されたボーイングのSB-1は、ステルス形状を追及した通常型ヘリ(飛行実績なし)であり、異なる2つのタイプから一つを選択するのか、いつ選択するのかが不明のまま現在に至っており、500億円以上を既に投資したBell社は、契約なしでは開発継続は難しいと漏らし始めているようです
関係者は過去に、要求と装備を盛りすぎて高価すぎるヘリとなり、結局開発が中止された「Comanche attack helicopter」等の苦い経験を有しており、今回のFVLにも過去の悪夢が蘇る不安に襲われているようです
とりあえず既に初飛行を終えているティルローター型のV-280をご紹介します
15日付Military.com記事によれば
●V-280 Valorは、兵装した12~14名の陸軍や海兵隊兵士を輸送できるティルローター機で、UH-60の約2倍の速度280ノットを目指して命名されている
●またUH-60の航続距離が320nmであったのに対し、400nmの航続距離を目指しており、今後数か月の試験の中で設計上の性能を、速度と共に実証する予定である
●18日のデモ試験を前に、ベル副社長のJeff Schloesser退役少将は「多様な機動をお見せする。方向転換であり、ロールやピッチ機動あり、加速する様子も披露できるだろう」と語っていた
●同副社長はまた「年末までには、自動操縦機能も確認し、搭乗員が飛行そのものでなく、任務遂行により集中できるようにするための能力だ」と説明した
●一方で、FVL計画を米陸軍が今後どうするのかはっきりしておらず、同副社長も自社努力にも限界があるとし、「我々は既に多額の投資を行っており、陸軍と共に前進する準備もあるが、契約なしではこれ以上技術者等を専従させておくことは難しいと陸軍には伝えている」とも訴えた
●同副社長は、現役時代に陸軍航空部隊の担当部長を2度務めた経歴を持ち、ヘリ開発計画中止の後始末をした経験を持っているため、「昔の苦い経験を思い出さずにはいられない」と不安を口にした
●そして「将来の混乱に満ちた複雑な戦場や、中国やロシアの動向を見るに、速度と航続性能と生存性を兼ね備えた機体がぜひ必要だ」と訴えた
//////////////////////////////////////////////////////////////
両方の調達を追及し、お金が続かず両方とも中途半端な開発費と機数で現場に負担がかかる・・・・なんて結末は避けていただきたいものです。
それにしても、V-280の横幅が広すぎて、前線では着陸場所確保に苦労するような気がしてなりません・・・素人考えですが・・・
SB-1の前身S-97関連記事
「新型特殊作戦ヘリ:S-97 Raider」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-04-1
「S-97の特徴」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-10