今後30年間しっかり仕事してもらうため
対中国を視野に置きつつ第1歩
10日付DODbuzzは、米空軍B-52のライフサイクル管理センターが6月に関連企業に向け「RFI:request for information:情報提供要求」を公表し、同機の翼下に現在の4倍の大型兵器を搭載可能にする基礎調査を開始したと報じています
この情報要求は、1960年代から使用されているB-52のパイロンに関する「Heavy Weapon Release Pylon Program」の一環として、現パイロンの最大搭載重量5000ポンドを、2万ポンドレベルに強化しようとするものとRFIに記されているようです
このような計画やRFIの背景について記事は、中国の急速な軍事力増強と技術開発だと明確に言い切っており、関係者への取材をそれを裏付けるものとなっています。
具体的な搭載兵器の候補や計画はまだなく、単に技術的な情報収集を始めただけとのことですが、「火の無いところに煙は立たず」ですので、今後ためTake Noteしておきましょう
10日付DODbuzz記事によれば
●米国防省や米軍が、対テロから大国間の本格紛争への備えに駆り立てられる中、米空軍は春発表された「Bomber Vector:爆撃機将来計画」において今後30年間使用する計画になっているB-52爆撃機の、翼下パイロンの更新強化を検討し始めている
●6月に関係企業に向けたRFIが米空軍から公表され、B-52のパイロンに新しくより重い兵器を搭載するための最適策を検討する情報提供の募集を開始しているのだ
●米空軍関係者によれば、太平洋地域において顕著になりつつある脅威に対応するため、「Heavy Weapon Release Pylon Program」が進められているようだ
●同関係者は、「理由なく同プログラムが存在する訳はなく、我々を検討に駆り立てる切迫した理由があるからだ」と、最新の「National Defense Strategy」やマティス国防長官のシャングリラ会合講演で、中国を強くけん制する発言が相次いでいる背景を示唆した
●パイロン改修に関する具体的情報は無いが、同関係者は「パイロンに5,000~20,000-pound級の兵器を複数搭載したい」と語っている
●前述の「Bomber Vector:爆撃機将来計画」や2019年度予算案においても、この高齢爆撃機に対し、今後さらに投資する方向が示されている
●ただし米空軍B-52のライフサイクル管理センターのStephen Palmer氏は、「このRFIは単なる市場調査に過ぎない」、「現時点で関係企業に具体的な提案を要望しているわけではない」と慎重なコメントに終始した
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ちなみに最新の「National Defense Strategy」は中国の軍拡について、「中国は戦略的な競争者であり、その獰猛な経済力を用いて、近隣諸国を恫喝し、南シナ海の軍事化を進めている」と記述しています。
マティス長官はアジア安全保障会議(シャングリラ会同)で、「中国が(南シナ海で)拡張や攻撃的な姿勢を改めないなら、何らかの結果を生じることになろう」と述べ、その前にはRIMPAC2018に中国を招待しないと発表した際も、「競争自体は悪くなく、強い姿勢もそれ自体が悪くはない。しかし彼らの南シナ海での行為は結果を生み出すことになる」とコメントしていました。
トランプ政権全体の動きは読めませんが、一つの指標として、B-52翼下パイロンの大型兵器搭載改修検討をお伝えしました
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