なんと欧州製の空対空ミサイル搭載の図です!
29日、韓国の国防調達庁DAPAが、初期設計段階PDR(preliminary design review)を終え、次のCDR(critical design review)に進むことになった国産の次期戦闘機KF-Xのイメージ図を公開しました。
KF-Xは韓国が導入を決めたF-35と共に、ハイ・ローミックスで韓国空軍の中核をなすことを目指す装備で、F-4やF-5戦闘機の後継として約120機の導入を見積もっており、運用開始時期については明確ではありませんが、2020年代半ばには、現在の専横機430機体制が老朽化から半分になる可能性もある事から、そんなに余裕はありません
このKF-Xは、F-35導入選定のどんでん返しゴタゴタの影響を受け、2014年頃から大混迷の中で始まり、2016年1月に正式スタートしたことになっておりますが、とりあえず現状について、米国ともめている様子も含めてご紹介しておきます
29日付Defense-News記事によれば
●DAPAのJung Kwang-sun長官は29日、「3日間にわたるPDRで全ての要求事項が満たされていることを確認したので、次のCDRに向けて事業を進める」と発表し、想像図を公開した
●そして2019年9月までに詳細な設計をまとめると今後の予定について説明した
●公開されたデザイン画はC-109とのコードネームで機体を呼称し、風洞試験や流体力学分析を経て完成したものだと説明された。
●デザイン画が米国製でなく欧州製の中距離ミサイル「Meteor」4発を胴体下に、翼端のパイロンランチャーに短距離ミサイル「IRIS-T」2発を搭載していることに関し専門家は、DAPAは本当はAIM-120やAIM-9を搭載した絵にしたかったが、輸入ライセンスを取得できていないことからそうなったと解説している
●匿名のDAPA関係者も、欧州製空対空ミサイルは米国製よりも高価で、また米国製の方がシステム融合しやすいため、米国との交渉が進めば米国製の方向に進むと述べている
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このKF-Xはもともと、米国からF-15 Silent Eagleを輸入する見返りとして、米国ボーイング社からの技術移転や支援を受けることを当てにした国産開発機です。それが突然ロッキードのF-35に大どんでん返しで、ロッキードが技術支援を拒んでいる(F-16と競合する等の理由で)代物です。
2013年年初はF-35ではなくF-15 Silent Eagleを60機導入で手続きが進んでいましたが、2013年3月に時のヘーゲル国防長官らが直接F-35売り込みに乗り出し、最終決定会議の前日に大どんでん返しで9月24日にF-15は採用しないと決定され、再選定を経て40機のF-35に無理やり変更された黒歴史です
KF-X費用負担の面でも、ロッキードに2割負担せよとの高飛車な要求交渉を行っている韓国DAPAですが、欧州製ミサイル搭載の図の件もあり、この北朝鮮情勢と南北融和大統領のなか、どう進むんでしょう・・・。
KF-X関連の記事
「米が韓への技術提供拒否」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-28
「KF-X計画公式発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-01-1
「韓国KF-Xは2個エンジン」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-22
「F-35がらみでKF-X支援要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-31
韓国とF-35関連記事
「韓国F-35とKF-Xのゴタゴタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-04
「韓国F-35とKF-X」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-25
「韓国がF-35に最終決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-22-1
「急転直下:F-35を選定か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-19