米中ディールに向けた環境をアピールか?
それとも中国が機を見ているのか?
11月26日、7月に太平洋空軍司令官に着任したCharles Brown大将がワシントンDCで記者会見に臨み、米軍と中国軍が接する最前線である南シナ海上空での最近の様子について語り、付近を飛行する米軍機に対する中国機の反応が依然と比較して減少し、おとなしくなっていると語りました
17日には上司であるDavidson太平洋軍司令官が、南シナ海人工島への中国軍地対空ミサイルSAMの急速な増強配備に危機感を訴えたところでしたが、「脅威=能力+意図」の式で南シナ海の中国軍を捉えるならば、能力は引き続き急増だが、意図の点では沈静化ともとれる見方をBrown大将は披露しています
折しも、激しい報復合戦が続く米中貿易摩擦を巡り、落としどころを探るような気配を感じるとの論評を見聞きすることが多くなってきた昨今ですので、一番敏感な最前線に立つともいえる太平洋空軍司令官のBrown大将が、邪推すればシグナルを発しているような気もしますのでご紹介しておきます
26日付Military.com記事によれば
●ペンタゴンで記者団に情勢ブリーフィングを行ったBrown司令官は、南シナ海上空での緊張感は依然高いが、南シナ海上空を飛行する米軍機に対する中国軍機によるリアクション回数や危険な行動は最近減っていると語った
●また、米軍の偵察機や哨戒機に対する反応はあるが、B-52爆撃機の様な爆撃機に対する要撃行動はほとんどないし、あっても過剰に危険を感じさせる飛行を最近中国軍機は行っていないと付け加えた
●更に、要撃行動は「今は散発的で、我々が飛行すれば、必ず要撃行動を受けるといった以前とのようなことはない」とも付け加えた
●17日にDavidson太平洋軍司令官が講演で、「南シナ海の人工島は、3年前までは砂の万里の長城だったが、今ではSAMによる万里の長城だ」と表現し、人工島に急速に配備が進む中国軍SAMの急増ぶりに警戒感を示したところだが、
●このSAM急増についてBrown司令官も触れたが、併せてSAMによる「挑発的な行動やロックオン行動は最近確認されていない」と明確に述べた
●併せて前職の中央軍空軍司令官の経験を踏まえ、米空軍操縦者はSAMに狙われた際の対処に精通しているとも語りつつ、「シリアにロシア軍が展開している高性能SAMから、多国籍軍航空機に対し使用される意図が感じられないが、南シナ海に配備された中国軍SAMも同じである」とも表現した
●ただしBrown司令官は、「仮に緊張感が急に高まれば、我々は自己防御する権利を有している」とも付け加えた
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相手の軍の行動をここまで細かく記者団に語る必要性は軍事的には無いと思うので、中国の姿勢を米国も感じてるよのシグナルかなぁ・・・と感じた次第です。
考えすぎの可能性もたっぷりありますが、東シナ海の状況も航空自衛隊からでも伺いたいものです。
Charles Brown大将が太平洋空軍司令官に推挙された際は、アジア太平洋経験がほとんどないとか、中東べったりの経歴で大丈夫かとか、大変失礼なご紹介をしてしまいましたが、中東と比較しての状況説明とか大変ありがたいので、どんどんお願いしたいです
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